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ジャクソンホールでパウエルFRB議長は何をしゃべった?

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 日本 | 欧州 | 米国 | 2022年8月27日 |

ジャクソンホールでパウエルFRB議長は何をしゃべった?

 現地時間8月25~27日、カンサスシティ連銀の経済政策シンポジウムがジャクソンホールで行われている。今年は3年ぶりに世界の中央銀行幹部、エコノミスト、金融関係者がワイオミング州の避暑地であるジャクソンホールに集まる。2020年と2021年はコロナでオンライン開催だった。

 カンサスシティも田舎であるがジャクソンホールのあるワイオミング州は、人口が57万人と全米最小の州で、もっと片田舎である。何でそんな片田舎に世界の中央銀行幹部や金融関係者が毎年「大挙して」集まるようになったかは、あのボルカーFRB議長がこの片田舎が大のお気に入りだったからのようである。
 
 とくに今年は、減速する経済活動と落着く兆しが見え始めたインフレの中でFRBの金融政策の行方が注目されているタイミングであり、現地時間(山岳時間というらしい)26日午前8時(日本時間同日午後11時)から始まるにパウエルFRB議長の講演が大変に注目されていた。

 その直前に発表された(FRBが最も重視する)7月のPCEコアデフレーター(食品とエネルギーを除いたもの)が前年同月比4.6%(6月は同4.8%)、前月比0.1%(6月が0.6%)上昇と、落着いて来ている。ピークは2月の同5.4%上昇だった。

 よくFRBが言う2%の物価上昇とは、このPCEコアデフレーターのことである。消費者物価指数が6月の前年同月比9.1%上昇がピークとなりそうであるが、PCEコアデフレーターでみるピークはそれより4か月早かったことになる。

 そして続いて発表された8月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は58.2(速報値は55.1、7月は51.1)と大幅上方修正されていた。米国経済の先行指標となる各種景況感指数は6月に入ると「一斉に」悪化していたが、8月に入ると「かなり」回復している。

 そしてパウエル議長講演のポイントは「9月の利上げ幅はデータ次第」「早急な緩和のリスクを歴史が警告している」「長期にわたり引き締め必要」などで、従来の表現をややタカ派敵に修正しているが、全体的には想定されていた内容である。

 最近は発表される経済指標に対して各金融市場の反応度合が違ってきている。今回も為替や米国債利回りは「改めて」反応していないが、米国株式だけが大きく下落した。

 8月26日の終値でNYダウが1008ドル(3.03%)安の32283ドル、NASDAQ総合指数が497ポイント(3.94%)安の12141ポイントとなった。米国株式はFRBが利上げを加速させた6月中旬をボトムに上昇していたが、7月FOMC議事録で利上げ継続が確認された8月17日を高値に下落に転じていた。

 欧州株式ではDAX総合指数が300ポイント(2.26%)安の12971ポイントとなったが、英国FTSEは52ポイント(0.7%)安の7427ポイントでしかない。パウエル講演でECBが9月に0.75%利上げするとの予想まで飛び出したからで、EUを離脱している英国株の下落幅が少なくなっている。

 さてそんなパウエル議長であるが、1年前には「世紀の大間違い」を犯している。ちょうど1年前に発表されていた2021年7月の消費者物価指数が前年同月比5.4%と13年ぶりの上昇となっていたにもかかわらず(同月のPCEコアデフレーターも同3.6%上昇と長期目標の2%を大きく超えていた)、物価上昇は一時的として超緩和金融政策を継続してしまった。

 それで少なくともインフレ対策の金融引き締めが世界的に4カ月は遅れてしまった。

 ジャクソンホールに限らず国際会議で各国要人が一堂に会するメリットは、お互いの「腹のうち」を探れることと、時には「ひそひそ話」から思わぬ合意に至ることもあるからである。過去には何度もそういうことがあった。

 今回は日銀の黒田総裁がジャクソンホールに参加しているが、英語に堪能な黒田総裁はよく各要人と積極的に会話している。国内では立場上あまり自由にしゃべれないため、海外ではその反動もあり饒舌になるようである。

 とくに7月の日本の消費者物価指数が前年同月比2.4%(除く生鮮食糧品)上昇と、目標だった2%を超えているため、今後の日銀の金融政策について「質問」が多いはずである、6月に日本国債の空売りでヘッジファンドが損失となったため、黒田総裁から「いろいろ」探ろうとする運用関係者も多いはずである。

 あまり機嫌よく「しゃべり過ぎないよう」お願いしたい。

2022年8月27日

The Stray Times(有料版)の予告   174回目

| 有料版記事予告 | 2022年8月21日 |

The Stray Times(有料版)の予告   174回目

 8月22日(月曜日)の夕方に、予定通り更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  強弱感の対立が激しい米国株式市場の行方

 先週末(8月19日)の米国株式市場は、NYダウが292ドル(0.86%)安、NASDAQ総合指数が260ポイント(2.01%)安となった。6月中旬以降かなり反発していた米国株式市場は、FRBの利上げ懸念の再燃と長期金利の上昇で(とくにNASDAQ指数が)反落となった。今週もジャクソンホールなど重要イベントが続くため、もう少し下落しそうである。

 ここのところ米国株式市場の強弱感が激しく対立している。金融引き締めの長期化と金利上昇で株価が下がるとの見方と、米国経済の回復とインフレ鎮静化の相乗効果で株価が上がるとの見方である。ずっと後者が優勢だったが先週末は急に前者が優勢となった。まだまだ振幅の大きな相場展開となりそうである。

 先週に引き続き「評論」ではなく「実践」で今後を考えてみたい。

2 今週の「警戒すべき」銘柄    電通グループ(以下、電通)

 東京地検特捜部は17日、高橋治之・元東京オリンピック組織委員会理事を受託収賄容疑で、AOKI前会長ら3人を贈賄容疑で逮捕した

 電通元専務である高橋容疑者の「完全な」個人犯罪として切り捨て、清和会・財務省・電通で独占するオリンピック利権構造は「そっくり」残した上で2030年の札幌冬季オリンピックでまた「荒稼ぎ」することになる。

 電通は「政府の広報機関」であるテレビや新聞に対する影響力から「常に特別待遇」を受けて来たが、ネット広告に決定的に出遅れており経営状況は「問題だらけ」である。

 そんな電通を久々に取り上げる。

3 お薦め「書籍」コーナー

 先週お薦めした「禁断の中国史」について書き足りないところがあるため、今週はその「続き」である。日本人がなぜ中国人の「本質」を見抜けないのかについて、付け加えたい。

2022年8月21日

 

最新有料記事サンプル


2022年9月26日配信分
今週の「警戒すべき」銘柄   東芝(続編)

今週の「警戒すべき」銘柄   東芝(続編)

 先週の続きである。先週はハゲタカファンドが送り込んだ社外取締役の「主導」で非公開化され、見えないところでハゲタカファンドに食い尽くされる「運命」であるが、そんな運命を自ら選んでしまった東芝について解説した。

 東芝については過去から「不適…


2022年9月26日配信分
最近やたら気になること  1回目

最近やたら気になること  1回目

 今週からテーマを1つ追加する。主に国際政治において看過できない動きを取り上げる。

 最初として今週は、共産党大会が迫る中国と習近平の最新状況と、対峙する米国の状況と、日本に差し迫る危機から始める。そのまま「自由主義国連合」と、中露北(朝鮮)の「絶対主…


2022年9月26日配信分
特別特集  FRBは間違っている、それなら日銀介入は?

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やや刺激的な表題であるが、FRBの金融引き締めが急激すぎるという「政策論」ではない。米国経済ひいては世界経済をさらに低迷させることが明白の中で、さらに金融引き締めを強化・長期化させる権限がFRBにあるのかという「そもそも論」である。そこが受…