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世界最強(最凶?)の「物言う株主」がソフトバンクGに狙いを定めた!

| 投資家編 | ソフトバンク | 2020年2月08日 |

 世界最強(最凶?)の「物言う株主」であるポール・シンガー率いるエリオット・マネジメントが、ソフトバンクGの株式を30億ドル(3300億円)近く取得していることが2月7日に明らかになった。ソフトバンクGの発行済み株数の約3%に相当する。

 エリオットはすでに孫正義社長やビジョンファンドの運用責任者であるラジーブ・ミスラ副社長らと会談を行った模様である。

 エリオットは、ソフトバンクGの時価総額が「企業価値」を大幅に下回っていると主張しており、それ自体は孫社長の強調するソフトバンクGの主張と完全に一致している。

 また昨日(2月7日)のソフトバンクGの終値も337円高(7.13%高)の5064円と、1日で時価総額が7000億円も増加した。そこだけを見ると、ソフトバンクGもエリオットもソフトバンクGの一般株主も「すべて満足」となるはずであるが、コトはそんなに単純ではない。

 まずエリオットは200億ドル(2兆2000億円)の自社株買いをソフトバンクGに求めているが、その原資としては「アリババ・グループやスプリントなどへの投資縮小により自社株買いの原資は簡単に捻出できる」としている。

 わかりやすく言えば「投資ポートフォリオを大幅に縮小して自社株買いに充てるべき」と言っているわけで、これはアリババなどの含み益に依存した従来のソフトバンクGの基本方針とは全く違っている。

 またエリオットは直接的には取締役の派遣を求めていないが、その代わりに社外取締役を増員し、要するに孫社長の意向が最優先されるソフトバンクGの意思決定プロセスにブレーキをかけようとしていることになる。

 ややこしいことは、こういったエリオットの主張は、ソフトバンクGの一般株主や、最近の日本におけるコンプライアンス重視の風潮にも合致しているようにも見え、株価的にも「とりあえず」プラス効果となり、世間の賛同を味方につけてしまう可能性が強いことである。これはエリオットの最も得意とする手法で、かなりの大型企業でも「限られた投資金額で」株主総会をリードしてしまう。

 「それならそれで結構ではないか?」と思われるかもしれないが、その前にエリオットの「怖さ」をよく理解しておかなければならない。エリオットがソフトバンクGやその一般株主の「利益」や、日本の株式市場におけるコンプライアンス重視に「貢献」してくれているなどと、ツユほども考えてはならない。

 エリオットは2001年に破綻したアルゼンチン国債を買い集め、一切の債務再編交渉を拒否し、7割の債権放棄案を呑んだ債権者への支払いを差し止めてまで2014年に「満額」を回収してしまったことがある。

 このアルゼンチンを含むエリオットの数々の「荒っぽい手口」の詳細と、今後予想されるソフトバンクGへの攻撃方法などは、近々詳しく解説したい。

 エリオットでも1銘柄30億ドルの投資は、AT&Tと並んで「個別銘柄に対する最大級の投資」であり、それだけ気合も十分で、秘策も用意していると考えたほうがよい。

 間違いなく「騒ぎ」が大きくなる予感がする。

 

2020年2月8日