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1998年以来の140円台となったドル円相場

| 為替編 | ドル(円) | 2022年9月03日 |

1998年以来の140円台となったドル円相場

 ドル円相場は9月1日のNY時間で1998年以来の1ドル=140円台となった。年初が115円台だったので今年の円の下落率は18%に迫る。1973年の変動相場制移行後では1979年の19%に次ぐ2番目の年間下落率となる。

 8月26日のジャクソンホールのパウエル議長発言で利上げが相当期間継続されると改めて認識されたことと、同じジャクソンホールで黒田日銀総裁が金融緩和継続を「断言」したため、とりあえずは「やむを得ない」140円台である。

 そしてNY時間2日早朝に発表された8月雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比31万5000人増と事前予想をやや上回ったが、7月の56万6000人(修正値)から大幅減となり、8月の失業率も3.7%と7月の3.5%から悪化していた。

 それでも発表直後のドル円は、FRBの利上げ継続が継続されるとして一時140.80円まで円安となったが、その後に発表された7月製造業受注が予想外の前月比マイナス1.0%となるなどで、一時は140円を割り込んだ。

 結局、2日のドル円のNY終値は140.21円、米10年国債利回りは3.20%(一時3.28%)、2年国債利回りが3.40%(一時3.54%)、NYダウが337ドル安の31318ドルとなった。株安は夕方に伝わったガスプロムの欧州へのガス供給停止のニュースを受けた影響もある。

 ところでドル円は1998年以来の140円台であるが、その1998年を含む1990年代後半の為替を取り巻く環境を振り返っておきたい。

 1990年代前半は日本の対米貿易黒字が大きな政治問題となり1995年4月には一時79.75円の超円高となっていた。この円高は東日本大震災後の2011年10月末に一時75.32円となるまで戦後最円高だった。

 ところが1997年7月にタイから始まったアジア通貨危機拡大に伴うドル高に、日本においても同年11月の三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行から1998年8月の旧日本長期信用銀行の破綻(同年10月に国有化)に至る金融危機に伴う円安の「相乗効果」で、1998年6月に140円台となったドル円は同年8月に一時147.66円の円安となる。

 1998年10月時点の米国の政策金利は5.0%、日本の政策金利(無担保コール翌日物誘導金利)は0.25%だった。日米の政策金利差は当時の方が大きく、円売り・ドル買いのキャリートレードも積み上がっていた。

 ところがその1998年8月にロシアが一時的にデフォルトするロシア危機となり、ロシアなど新興国のエクスポージャーが天文学的に積み上がっていた巨大ヘッジファンドのLTCMが破綻し、一気にキャリートレードが解消されて同年10月には一時111円台までの円高となる。

 米国の政策金利はITバブルもあり2000年5月の6.5%まで上昇し、日本の政策金利は金融危機の影響で1999年2月~2000年8月に「できるだけ低く維持する」という実質「ゼロ金利政策」となり、日米の政策金利差が「さらに」拡大したもののドル円は1999年12月に102円まで円高になる。つまり日米の政策金利差に全く逆行していたことになる。

 1998年を含む1990年代後半の世界は非常に「イベント=大事件」が多く、高いボラティリティの中で2か月だけ実現した140円台だったことになる。

それに比べて2022年は、拡大する一方の日米政策金利差「のみ」が注目され、低いボラティリティの中の「ほぼ」一方通行で実現した140円台となる。従って今回は1998年のような急激な円高反転もないはずである。

世界中が政策金利差しか見ていない現状も「不気味」ではあるが、とりあえず円高反転する材料が見当たらない。

2022年9月3日

 

 
 

The Stray Times(有料版)の予告   175回目

| 有料版記事予告 | 2022年8月28日 |

The Stray Times(有料版)の予告   175回目

 8月29日(月曜日)の夕方に、予定通り更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  パウエル講演で米国株だけが大幅に下がった影響

 先週末(8月26日)のジャクソンホールでパウエルFRB議長の講演があった。おおむね予想通りの内容であったにもかかわらず、また米国株以外の為替や米国債利回りや商品相場がほぼ想定通りだったにもかかわらず米国株だけが大幅に下がった。NYダウが1008ドル(3.03%)安、NASDAQ総合指数が497ポイント(3.94%)安である、

 ここのところ材料(外部環境の変化)に対して各金融市場の反応度合が違っているため、材料から相場を考えることはやめて、相場から材料(外部環境の変化)を推測して次の相場に備えるようにしている。今回はその中でも米国株の下落が想定以上に大きかったため、いったいどこをどう修正する必要があるかを考えなければならない。

 つまり理論的ではなく、全く感覚的なアプローチである。

2 今週の「警戒すべき」銘柄    電通グループ(以下、電通) 後半

 電通専務だった高橋治之・元東京オリンピック組織委員会理事が受託収賄容疑で逮捕されたこと受けて、電通の海外スポーツビジネスを中心に考える「後半」である。ポイントを絞っても書くことが非常に多いため、今週で終わらせるために電通の海外スポーツビジネス発展の過程をさらに掘り下げることにする。

 そこに今回の事件の原点があると考えるからである。

3 お薦め「書籍」コーナー

 まだ決めていません。

2022年8月28日

最新有料記事サンプル


2022年9月26日配信分
今週の「警戒すべき」銘柄   東芝(続編)

今週の「警戒すべき」銘柄   東芝(続編)

 先週の続きである。先週はハゲタカファンドが送り込んだ社外取締役の「主導」で非公開化され、見えないところでハゲタカファンドに食い尽くされる「運命」であるが、そんな運命を自ら選んでしまった東芝について解説した。

 東芝については過去から「不適…


2022年9月26日配信分
最近やたら気になること  1回目

最近やたら気になること  1回目

 今週からテーマを1つ追加する。主に国際政治において看過できない動きを取り上げる。

 最初として今週は、共産党大会が迫る中国と習近平の最新状況と、対峙する米国の状況と、日本に差し迫る危機から始める。そのまま「自由主義国連合」と、中露北(朝鮮)の「絶対主…


2022年9月26日配信分
特別特集  FRBは間違っている、それなら日銀介入は?

特別特集  FRBは間違っている、それなら日銀介入は?

やや刺激的な表題であるが、FRBの金融引き締めが急激すぎるという「政策論」ではない。米国経済ひいては世界経済をさらに低迷させることが明白の中で、さらに金融引き締めを強化・長期化させる権限がFRBにあるのかという「そもそも論」である。そこが受…