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144円乗せとなったドル円相場 流れが変わる気配?

| 為替編 | ドル(円) | 2022年9月07日 |

144円乗せとなったドル円相場 流れが変わる気配?

 日本時間本日(9月7日)早朝の東京市場でドル円相場は急落し、正午すぎには144円乗せとなり1998年8月の円最安値147.66円にも急接近となっている。もう少しオーバーシュートしそうである。

 米国時間8月26日早朝にジャクソンホールでパウエルFRB議長が金融引き締め継続の「強い意志」を表明し、同じく黒田日銀総裁が金融緩和の継続を表明した時点で「円安加速」が決定的となっていた。その8月26日のNY時間終値は137.50円だった。

 そこから9月1日の海外時間で140円台となり、この24時間ちょっとで3.5円以上の円安加速である。本日午前中の米10年国債利回りは3.34%、日本の10年国債利回りは0.24%と日米長期金利差も拡大しており、「円高反転」の材料は見当たらない。

 ここ24時間ちょっとの円安加速は、海外ヘッジファンドの大量の円売り・ドル買い仕掛けに、日本勢のドル買い戻し(あるいは買い遅れたドルの手当)が巻き込まれた結果である。

 同じ24時間ちょっとでユーロドルが0.9964ドルから0.9878ドルと、やはりユーロ安となっているが、ECBも8日の理事会で0.5~0.75%の利上げが予想されているためユーロ安は限定的である。

 つまり「円高反転」の材料がどこにも見当たらない中で、ヘッジファンドなど海外勢に絶好の収益チャンスを提供したことになる。ただ同時に市場を支配していた「潜在的なドル買い遅れ感」がかなり解消されたことも事実である。

 直観的には「円高反転」とまではいかなくても「円安加速」は終局に近づいたと感じる。

 147.66円を記録した1998年8月は、積み上がった円売り・ドル買いのキャリートレード・ポジションがロシア危機、LTCM危機で一気に解消され、2か月後の1998年10月には一時111円台まで円高となった。

 要するに日本勢ではなく海外勢の「円のカラ売り残高」がどれくらい積み上がっているかがポイントとなるが、ここ24時間ちょっとで「かなり」積み上がったはずである。それが「円安加速」が終局に近づいていると感じる理由であり、そこに思いもよらない「円高材料」が出現すると一気に「円高反転」となる。

 それでは近い将来、何か「円高材料」が出現するのか?

 日銀は少なくとも2023年3月の黒田総裁の任期中に「利上げ」に転じることはない。しかし足元の日銀はFRBを上回るペースの量的引き締めに転じていることはあまり注目されていない。

 直接の理由はコロナ対策融資が3月から順次打ち切られているからで、9月には完全に終了する。それに日銀は保有国債が償還となった時の再投資が義務づけられていないため、すでに償還が高水準となる中で、金利低下により5~6月のような指値オペが必要ないため国債保有残高も間もなく純減に転じるはずである。

 日銀総資産は6月末の732兆円から8月末の709兆円まで「すでに」23兆円(3.1%)も減少しており、これは同期間のFRBの1.0%減少よりも「はるかに」大きい。FRBは9月から減少ペースを倍増させるが、それでも今後の日銀の減少ペースの方が大きいはずである。

 つまり日銀の金融政策とは、低金利政策は維持しながら量的引き締めを強化するはずである。為替の水準は金利差だけでなく、貨幣の需給関係(量的引き締めの度合い)にも左右される。

 目を凝らすと「円高材料」がすでに出現していることになる。海外勢の円のカラ売りが積み上がれば、それだけ「円高材料」に反応しやすくなる。

 1998年の再現に近いものがあるかも知れない。

2022年9月7日 
 

The Stray Times(有料版)の予告   176回目

| 有料版記事予告 | 2022年9月04日 |

The Stray Times(有料版)の予告   176回目

 9月5日(月曜日)の夕方に、予定通り更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  24年ぶりに140円台となったドル円 下落が続く米国株式市場など

 先々週末(8月26日)のジャクソンホールにおけるパウエル議長の講演以降、米国では利上げ再加速が想定され、ドル高、国債利回り上昇、株安の展開となっている。米国以外の中央銀行も(日銀と中国人民銀行を除いて)今月は利上げが続くはずであある。

 一方で先週末(9月2日)に発表された8月の米雇用統計は「なかなか」微妙な結果で、天然ガスを除く商品価格の下落も続く

 そんな中で米国だけではなく世界の為替、金利、商品、株式市場の「現在地」を確認して、今後を予想してみる。最近何度も書いているが、材料から相場を考えてはならない。

2 今週の「注目すべき」銘柄   サイバーエージェント

 先週まで2週にわたって電通を取り上げたが、今週はその電通が大きく出遅れているネット広告で先頭を走るサーバーエージェントを取り上げる。

 今年のワールドカップ・カタール大会の放映権も傘下のAbemaで取得したが、実はそのAbema事業はまだ年間100億円を超える赤字で、好調なゲーム事業で補う構造である。

 本コーナー初登場であるため、上場以来の歴史も振り返っておきたい。

3 お薦め「書籍」コーナー

 中国関連が続いたので、中国以外の「書籍」とする予定。

2022年9月4日

最新有料記事サンプル


2022年9月26日配信分
今週の「警戒すべき」銘柄   東芝(続編)

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 先週の続きである。先週はハゲタカファンドが送り込んだ社外取締役の「主導」で非公開化され、見えないところでハゲタカファンドに食い尽くされる「運命」であるが、そんな運命を自ら選んでしまった東芝について解説した。

 東芝については過去から「不適…


2022年9月26日配信分
最近やたら気になること  1回目

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 今週からテーマを1つ追加する。主に国際政治において看過できない動きを取り上げる。

 最初として今週は、共産党大会が迫る中国と習近平の最新状況と、対峙する米国の状況と、日本に差し迫る危機から始める。そのまま「自由主義国連合」と、中露北(朝鮮)の「絶対主…


2022年9月26日配信分
特別特集  FRBは間違っている、それなら日銀介入は?

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やや刺激的な表題であるが、FRBの金融引き締めが急激すぎるという「政策論」ではない。米国経済ひいては世界経済をさらに低迷させることが明白の中で、さらに金融引き締めを強化・長期化させる権限がFRBにあるのかという「そもそも論」である。そこが受…