2022/05/25(水)

17時48分14秒

The ST

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

ドル/円

大変に「高いもの」につくバイデンのアフガニスタン撤兵

| 政治・政策提言 | 日本 | 米国 | 2021年8月31日 |

大変に「高いもの」につくバイデンのアフガニスタン撤兵

 本日(8月31日)、バイデン政権のケリー気候変動問題担当特使が来日した。たった1日の滞在で、しかもその来日は8月27日になって急に米国務省から発表されたものである。
しかも気候変動問題を話し合う国連会議は10月である。つまり気候変動問題を今そんなに慌てて日本で話し合う必要はない。

 ケリーは日本に1日だけ滞在した後、9月1~3日に中国を訪問するが、この中国訪問は米国務省から8月25日に発表されていた。この訪中も「大慌てで」発表されているが、時間的に先の訪日が後から「もっと大慌てで」付け加えられたことになる。

 ケリーは2004年の大統領選候補にもなった民主党の重鎮で、外交経験が豊富で、しかも「親中派」議員の代表格である。官僚出身のブリンケン現国務長官とは「格」が全く違う。
 
 それではそんな民主党の重鎮で親中派の代表格であるケリー特使が、気候変動問題を議論するために「大慌てで」訪中し、あとから「もっと大慌てで」訪日も付け加えたのか?

 もちろんそんなはずがない。

 バイデン政権はアフガニスタンからの完全撤兵を発表していたが、8月15日に「予定通り」8月末までに撤兵を完了すると改めて発表した。2001年9月の同時多発テロ直後から20年続いた「米国史上最長の戦争」を終結させたレガシーのためだけの安易な決定だった。

 そしてその8月15日当日に、イスラム原理主義のタリバンがアフガニスタンほぼ全域を掌握し、親米のガニ(前)大統領は大金を抱えて逃亡した。今度はバイデンの決めた8月末(本日である)をもって、米国人を含む外国人全員と親米政権に関与していたアフガニスタン人全員が命の危険に晒されることになる。

 実はアフガニスタンからの撤兵はトランプが言い出したものであるが、トランプはタリバンを含む反米勢力とも綿密に交渉し、今後のタリバンの過激な行動を抑える形で撤兵を完了させようとしていた。ところ大統領選で落選したため間に合わず、後をバイデン政権に委ねざるを得なくなっていた。その結果がこれである。

 アフガニスタンがタリバンに掌握されたということは、ウイグルにタリバンが侵入すると大変に困る中国や、中央アジアに勢力拠点を確保したいロシアを一方的に利することになる。またイスラム教徒の多い東南アジアにも混乱が飛び火する恐れも強い。特に米国と米国人が世界中でタリバンのテロや誘拐の標的になることは明らかである、

 どう考えても米国の「一人負け」で、中国の「一人勝ち」である。バイデン政権が倒れる可能性まで出てくる「大失態」である。

そこでケリーに戻る。

 ケリーはバイデン政権を代表して中国に「タリバン」の過激な行動を抑えるよう「懇願」に行くはずである。見返りはトランプ政権以降、米国が中国に課した経済制裁の全撤廃、中国人の滞在ビザの完全復活、台湾海峡での軍事行動停止など「一つの中国」支持、ウイグル・香港など人権問題の容認、果てはコロナウイルスの武漢起源説の完全否定など「すべて」である。

 コロナウイルスの武漢起源説については8月27日、バイデンが各諜報機関に調査を命じていた報告書の一部が公表されたが「(武漢起源説は)特定できない」だった。米国に亡命した中国高官の証言の一部が5月25日にマスコミに公表され、主要マスコミも武漢起源説に傾いていたが、これで中国の生物兵器説が完全に消えてしまう。

 ここまで書くと本日のケリー訪日の目的も明白である。「中国を刺激するな」である。

 これで8月27日に公表されていた日台初の「2+2」は吹っ飛び、親中派の代表である二階幹事長の交代も無くなるはずである。菅首相は昨日(8月30日)、二階幹事長の交代と内閣改造を公表していたが、ケリー訪日を受けて何らかの変更があるかもしれない。

 米国はトランプが積み上げた対中国カードを「すべて」失うことになる。大変に「高いもの」につくバイデンのアフガニスタン撤兵であり、日本への影響も大きいはずである。

2021年8月31日
 

 
 

The Stray Times(有料版)の予告   124回目

| 有料版記事予告 | 2021年8月29日 |

The Stray Times(有料版)の予告   124回目

8月30日(月曜日)の夕方に予定通り更新します。以下、予定内容です。

1,特別特集     何か見落としていないか?

 本誌は7月中旬から、米国をはじめ世界の株式市場の中期通しを「やや弱気方向」に微修正し、そう考える理由を何回に分けて書いて来た。しかし相変わらず米国の株式市場だけは「何が起こっても」上昇を続けている。

 それを「おかしい」というつもはないが、もう少し視野を広げて「何か見落としていないか?」と探してみることにする。例えば主要国では政治の重要イベントが今年から来年にかけて目白押しであるが、日本の総裁選に限らず結構な波瀾が予想される国も多い。

 その辺を中心に考えてみることにする。

2,今週の「一言加えたい」銘柄       神戸物産編

 たまには「もっと話題になるはずの銘柄」を取り上げようと選んだが、すでに時価総額が1兆円を超える「株価急上昇銘柄」である。ここからの将来性を考えてみたい.

3,お勧め「書籍」コーナー
 
 まだ未定

2021年8月29日

最新有料記事サンプル


2022年5月23日配信分
今週の「警戒すべき」銘柄   楽天グループ

今週の「警戒すべき」銘柄   楽天グループ

 まずあまり関係がなさそうな話から始める。

 先週末(5月20日)に発表された4月の全国消費者物価指数は、総合で前年同月比2.5%上昇(3月は同1.2%上昇)、除く生鮮食料品では同2.1%上昇(3月は同0.8%上昇)と、消費税上げの影響を除くと2008年9月以来…


2022年5月23日配信分
特別特集  米国株はまだ下がるのか、そろそろ下げ止まり反発するのか?

特別特集  米国株はまだ下がるのか、そろそろ下げ止まり反発するのか?

その1  最初に問題提起

 米国株を中心に考える理由は、依然として米国株の動きが世界の株価に大きな影響を与えているからと、米国の物価、経済活動、企業業績、金融政策等が株価に与える影響が比較的「理論通り」だからである…


2022年5月23日配信分
お勧め「書籍」コーナー

お勧め「書籍」コーナー

 今週は百田尚樹氏が書いた「最初のミステリー」が文庫化されたタイミングでご紹介する。実は百田氏の作品は「日本国紀」が同じように文庫化されたタイミングで読んだだけである。

 このコーナーでもご紹介した日本通史であるが、ところどころ創作が入っており、歴史書なのか歴…