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ここからの米国株式をめぐる1つの考え方

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 株式編 | 米国 | 米国 | 2022年5月11日 |

ここからの米国株式をめぐる1つの考え方

 米国株式市場が急落している。世界各国の株式市場はそれぞれの国内事情より米国株式市場に影響されるため、その動向を気にせざるを得ない。

5月9日のNYダウ終値は本年最安値の32245ドルとなり、史上最高値となった1月4日の36799ドルから12.4%の下落となった。同じくNASDAQ総合指数は2020年11月の水準である11623ポイントとなり、本年高値となった1月3日の15832ポイントから26.6%も下落している。

 40年ぶりの物価上昇が続くためFRBも「さらなる利上げ加速」と「早急なFRB総資産縮小」に取り組まざるを得ず、5月9日は米長期金利(10年国債利回り)が一時3.2%となったための株価急落だった。

 NY時間5月10日午前中はさすがに景気減速懸念から10年国債利回りが3.0%を割り込み米国株式も反発しているが、昼ころには早くもマイナスに転じている。

 また利上げよりFRB総資産縮小の方が株式市場にとって大きなマイナス材料となる。リーマンショック以降、一時期(2017年秋~2019年秋)を除いて拡大一方だったFRB総資産が米国の(つまり世界の)株式市場を急上昇させて来た。その反動が一気に出ている。

 米国の株式時価総額(NY市場とNASDAQの時価総額合計)は2021年12月末にピークの52兆ドルとなった。2021年の米国名目GDPは23兆ドルなので、実にその2.26倍である。その時点のFRB総資産は9兆ドルである。

 リーマンショックで米国の株式時価総額が名目GDPを大きく割り込んだが2011年12月末にやっと追いついた。つまり米国の株式時価総額が名目GDPの1.0倍となり、実額はともに16兆ドルだった。またその時点のFRB総資産は3兆ドルだった(リーマンショック前は1兆ドル未満)。

 乱暴な言い方であるが2011年12月末から2021年12月までの10年間で6兆ドル増えたFRB総資産が、米国名目GDPを7兆ドル増加させ、米国株式時価総額を36兆ドルも膨らませたことになる。

 ところでFRBが一時的に総資産を縮小させていた2017年秋~2019年秋の2年間は、株式時価総額は名目GDPの1.7倍前後で拡大を止めていた。

 5月9日時点の米国株式時価雄額は2021年12月末から9兆ドル減って43兆ドルになったはずである。2022年の米国名目GDPを24兆ドルとすると、その比率はすでに1.8倍まで低下している。

 同じくFRBが総資産を縮小させていた2017年秋~2019年秋の1.7倍とするなら(名目GDPが24兆ドルのままだとして)、理論的な時価総額はあと2.2兆ドル減った40.8兆ドルになる。2.2兆ドルの減少とは本年に入ってすでに減少した9兆ドルの4分の1で、もうそれほど大きな下落にはならない。

 FRBの総資産縮小が2023年いっぱい続き名目GDPが25兆ドルになると、その時点の理論的な時価総額が42.5兆ドルとなり、ここからほとんど下落しないことになる。また何らかの理由で総資産縮小が打ち切られれば1.7倍が再度大きくなり、ここから時価総額が増えることになる。

 「そんな考え方もあるのか?」程度に覚えておいていただきたい。

2022年5月11日

The Stray Times(有料版)の予告   159回目

| 有料版記事予告 | 2022年5月08日 |

The Stray Times(有料版)の予告   159回目

 5月9日(月曜日)の夕方に予定通り更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  0.5%利上げと6月からの総資産縮小に踏み切ったFRB

 5月4日まで開催されていたFOMCは、0.5%利上げして政策金利を0.75~1..0%、6月1日からFRB総資産を毎月475億ドル縮小させると決定した。今後も6月14~15日、7月26~27日のFOMCでさらに0.5%ずつの利上げ、FRBの総資産は縮小開始後3か月で毎月950億ドルの縮小ペースとすることも示唆されている。

 これらはすべてほぼ事前予想どおりであるにも関わらず、NYダウは4日の発表後に900ドル超上昇、翌5日は1000ドル超下落、6日も一時500ドル下落と波乱含みである。FRBは加速する物価上昇の沈静化を最優先とするが、市場にはその効果が出る前に米国経済が失速する懸念がある。
 
 また先週はオーストラリア中央銀行と英国銀行(BOE)も利上げに踏み切る中、日銀だけは連日の指値オペで金利上昇を抑え込んでいる。ここも日銀だけが世界の金融政策の正常化に逆らっているため、どこかで大きな波乱を呼ぶ恐れがある。

 ここから危惧される世界の金融市場における「大きな混乱」とその対処方法を考える。

2  今週の「注目すべき」銘柄   ANAとJAL

 政府は6月にも外国人観光客を含む入国制限の緩和に踏み切る。その恩恵を受けるANAとJALを比較する。コロナで2年間の逆風の中、何とか生き残った両社であるが、どうしても2010年に破綻してあちこちに負担を押し付けたJALの対応が「甘い」と感じてしまう。

3  お勧め「書籍」コーナー

 未定です。

2022年5月8日

最新有料記事サンプル


2022年5月23日配信分
今週の「警戒すべき」銘柄   楽天グループ

今週の「警戒すべき」銘柄   楽天グループ

 まずあまり関係がなさそうな話から始める。

 先週末(5月20日)に発表された4月の全国消費者物価指数は、総合で前年同月比2.5%上昇(3月は同1.2%上昇)、除く生鮮食料品では同2.1%上昇(3月は同0.8%上昇)と、消費税上げの影響を除くと2008年9月以来…


2022年5月23日配信分
特別特集  米国株はまだ下がるのか、そろそろ下げ止まり反発するのか?

特別特集  米国株はまだ下がるのか、そろそろ下げ止まり反発するのか?

その1  最初に問題提起

 米国株を中心に考える理由は、依然として米国株の動きが世界の株価に大きな影響を与えているからと、米国の物価、経済活動、企業業績、金融政策等が株価に与える影響が比較的「理論通り」だからである…


2022年5月23日配信分
お勧め「書籍」コーナー

お勧め「書籍」コーナー

 今週は百田尚樹氏が書いた「最初のミステリー」が文庫化されたタイミングでご紹介する。実は百田氏の作品は「日本国紀」が同じように文庫化されたタイミングで読んだだけである。

 このコーナーでもご紹介した日本通史であるが、ところどころ創作が入っており、歴史書なのか歴…