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英国と英国王室の歴史  番外編

| 歴史・宗教編 | 2022年9月20日 |

英国と英国王室の歴史  番外編

 現地時間2022年9月19日正午からエリザベス2世の国葬がウェストミンスター寺院で行われ、海外から天皇・皇后両陛下を含む各国王族、元首ら500人、全体で2000人が出席した。

 エリザベス2世の在位は1952年から70年を超えていた。英国王は政治権力を保持しないが、戦後の大半の期間に女王として君臨していたエリザベス2世の英国内における存在感・影響力は想像以上に大きい。

 その存在感・影響力は英国内だけでなく、旧植民地の英連邦、欧州全域、自由主義陣営、そして共産主義国を含む全世界に及んでいたはずである。

 これは英国王室というよりエリザベス2世の「個人的魅力と人気」に負うところが大きい。残念ながら新国王となったチャールズ3世と新王妃となったカミラ夫人の「個人的魅力と人気」は、エリザベス2世に大きく劣る。

 この差がどこに出てくるかを見極めなければならない。

真っ先にスコットランドの独立問題が再燃する。現在の英国王室の直接の祖であるスチュワート朝のルーツはスコットランドで、エリザベス2世のスコットランドにおける人気は非常に高かった。

1707年に英国に併合されたスコットランドはもともと独立志向が強く、2014年には独立を問う住民投票が行われている(46:54で否決)。そして2023年10月に2度目の住民投票が予定されている。

今回は2014年と違い、英国がEUを離脱しているためEU残留派の多いスコットランド独立の理由が1つ増えている。ただ住民投票で可決しても英国政府がその効力を認めるかどうかは別問題である。

しかしエリザベス2世の存在がスコットランド独立の「抑止力」となっていたことも間違いない。チャールズ3世とカミラ王妃ではスコットランド人の「心」をつなぎ留められず、独立の流れに拍車がかかるはずである。

独立といってもクリアすべき技術的な問題は多いが、1つだけ挙げておくと、英国海軍の原子力潜水艦基地はスコットランドにしかない(クライド海軍基地)。

 英連邦(Commonwealth of Nations)とは、大英帝国のほぼすべての領土だった54カ国から成る「緩やかな」国家連合である。エリザベス2世は英連邦加盟国との関係維持に力を注いでいた。英国王は英連邦加盟国のうちカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、カリブ海諸国など14カ国の国家元首(国王)でもある。

 2021年11月にカリブ海のバルバドスが立憲君主国から共和制に移行しており、その後もジャマイカ、グレナダなどで共和制への移行が検討されている。チャールズ3世のもとでその流れに拍車がかかる恐れがある。もともと英連邦は「緩やかな」国家連合なのでさらなる混乱となる恐れは少ないが、自由主義国陣営にある重要な「結束」がさらに緩むことになる。

 欧州では、もちろんEUとの関係が最重要である。英国は2020年2月にEUを離脱しているが、通商、金融分野ではまだ混乱が続いている。ここでもエリザベス2世の「存在感」でEUは離脱した英国に対しても一定の「配慮」を示していたはずが、これもチャールズ3世のもとで微妙に変化していく可能性がある。

 つまり大きな意味で欧州の結束が緩むことになり、そこに一帯一路が停滞している中国が再び注力してくる可能性がある。もともと一帯一路とは太平洋を挟んだ中国の東方への海洋進出に対する、欧州・アフリカ諸国など西方への陸路の進出である。

 中国とは常に世界制覇を目指している厄介な国で、ここでもエリザベス2世の「存在感」が消滅したチャンスを中国が見逃すはずがない。大げさに言えばエリザベス2世が亡くなったことで、世界のパワーバランスが変化する恐れがある。

 エリザベス2世の国葬を見ていても、チャールズ3世とカミラ王妃がエリザベス2世の存在感を維持できるとは思えない。エリザベス2世が亡くなって「初めて」英国や欧州や全世界がその存在感に気がつくことになるが、その影響は「思ったより」大きいはずである。

2022年9月20日

The Stray Times(有料版)の予告   178回目

| 有料版記事予告 | 2022年9月18日 |

The Stray Times(有料版)の予告   178回目

 9月19日は祝日ですが、予定通り夕方に更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  引き締め加速に対する金融市場の反応がまた変化している 後半

 先週の続きである。世界の株式市場は13日に発表された8月の米国消費者物価指数が高止まっていたため再度の急落となった。今週(9月19~23日)は20~21日がFOMC、21~22日が日銀政策決定会合、22日が(延期されていた)イングランド銀行とスイス中央銀行の政策金利発表があり9月の金融政策が出揃う。日銀を除いて利上げが加速される。

 世界の金融政策がインフレ沈静化重視に傾く度に株式など金融市場の反応が変化してきたが、ここからまた変化しそうな気配である。どう変化しそうなのか?

 今週はこのポイントに加えて「すでに長期低落している原油など資源・商品価格」「嵐の前の静けさの国際政治状況」「なぜ急に出てきた日銀の為替介入観測」などを解説する。

2 今週の「警戒すべき」銘柄   東芝

東芝はハゲタカファンドが送り込んだ社外取締役の「主導」で非公開化され、解体される運命にある。ここに来て世界の株式市場が「変調」となっているものの、東芝の株価が中途半端に高いため「急速」にハゲタカファンドの熱が冷めている。投資資金が集まらない。

 そこで「官営」投資ファンドの日本産業パートナーズのお出ましとなり、日本企業各社の出資を募る。ハゲタカに解体されるよりマシであるが、注意しないとハゲタカに高値で売り抜けられる結果にしかならない。

 そんな東芝の「最新状況」を解説する。

3 お薦め「書籍」コーナー

 未定です。

2022年9月18日

最新有料記事サンプル


2022年9月26日配信分
今週の「警戒すべき」銘柄   東芝(続編)

今週の「警戒すべき」銘柄   東芝(続編)

 先週の続きである。先週はハゲタカファンドが送り込んだ社外取締役の「主導」で非公開化され、見えないところでハゲタカファンドに食い尽くされる「運命」であるが、そんな運命を自ら選んでしまった東芝について解説した。

 東芝については過去から「不適…


2022年9月26日配信分
最近やたら気になること  1回目

最近やたら気になること  1回目

 今週からテーマを1つ追加する。主に国際政治において看過できない動きを取り上げる。

 最初として今週は、共産党大会が迫る中国と習近平の最新状況と、対峙する米国の状況と、日本に差し迫る危機から始める。そのまま「自由主義国連合」と、中露北(朝鮮)の「絶対主…


2022年9月26日配信分
特別特集  FRBは間違っている、それなら日銀介入は?

特別特集  FRBは間違っている、それなら日銀介入は?

やや刺激的な表題であるが、FRBの金融引き締めが急激すぎるという「政策論」ではない。米国経済ひいては世界経済をさらに低迷させることが明白の中で、さらに金融引き締めを強化・長期化させる権限がFRBにあるのかという「そもそも論」である。そこが受…