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トランプが「不測の事態」に陥った場合の大統領選はどうなる?

| 政治・政策提言 | 米国 | 2020年10月08日 |

 トランプ大統領は現地時間の10月1日にコロナ感染が明らかになり、翌2日に米軍医療センターに入院するも、5日夕方には退院してホワイトハウスに戻ってしまった。

 トランプ大統領本人は「体調は良好」と強調するも、映像を見る限りはそうでもない。またホワイトハウスの医療スタッフの発表も歯切れが悪い。何よりもホワイトハウス内に感染者が増え、国防総省(ペンタゴン)のトップクラスも自主隔離を強いられている。

 これまで「不謹慎」なので記事を控えていたが、米国でも「不測の事態」に関する記事が増えているため、検証しておくことにする。

 以前にも書いたことがあるが、大統領選の投開票方法、勝者(実際は選挙人獲得者)決定などの権限はすべて州政府にある。訴訟は基本的に州裁判所で争われるが、2000年の大統領選挙のように最終的に連邦最高裁判所の判断となることもある。

 11月3日の大統領選挙は各州の選挙人を選び、その選挙人が12月14日に投票し来年1月6日に開票されて大統領、副大統領が選ばれる間接選挙である。実際は11月3日の投票結果が確定すれば、自動的に新しい大統領、副大統領が実質確定する。ところが選挙人は半分ほどの州では誓約した大統領、副大統領候補に投票することが義務づけられていない。実際に2016年にはトランプに対する造反が10名も出た。

 さてこの状態で大統領(あるいは副大統領)候補が「死亡など職務遂行が不能となる事態」に陥ったら、どうするのか? すでに期日前投票と返送されている郵便投票は合計300万人を超え、大統領選に投票するための資格登録はすべての州で終了している。

 まず11月3日の投票日は変更できるのか? 米国憲法は大統領選スケジュール決定を議会に委ねているので、上下院が賛成すれば変更できる。ところが下院で多数を占める野党・民主党が変更に応じるとは思えず、現実的は不可能である。

 「不測の事態」が11月3日の投票前であれば、共和党、民主党とも全国委員会で候補を選び直す。投票日まで時間がなく、両党とも3000人ほどいる代議員を招集している余裕がないため、共和党168名、民主党450名の全国委員会委員の投票で決める。常識的には過半数の獲得で新しい候補となる。

 ここでトランプ大統領とペンス副大統領の任期は来年1月20日まであるが、ペンスが自動的に大統領候補になるわけではない。まあ常識的にはそうなるはずで、ペンスは大急ぎで副大統領候補を決める必要がある。しかし来年1月20日までの大統領には、自動的にペンスが昇格して第46代大統領となる。史上最短の大統領となる可能性もある。

 11月3日の大統領選でトランプとペンスが勝ったあとに、トランプが「不測の事態」に陥った時は、その時点で新副大統領のペンスが新大統領に昇格して12月14日に投票される(来年1月6日に開票される)選挙人投票となる。しかしこのケースはややこしい。

 選挙人投票は大統領候補と副大統領候補を別々に選ぶ。また先述のように半分ほどの州の選挙人は誓約した候補者への投票が義務づけられていない。つまり大統領候補のトランプに投票すると誓約した選挙人がそのままペンスに投票し、副大統領候補のペンスに投票すると誓約した選挙人が「現時点では未定」の副大統領候補にそのまま投票するかどうかは、各州法の規定による。しかし大半の州では明確に規定されていない。

 最もありうるのは、どちらの大統領候補も副大統領候補も総勢538名いる選挙人の過半数を獲得できないケースである。その場合は規定により下院議員による投票(副大統領は上院議員の投票)となるが、どちらも各50州とワシントンDCを1票とする51票の過半数を得た候補が当選となる。

 この方式だと大統領を決める下院の現在の構成では共和党が26州と過半数であるが、実際に投票する下院議員は同じ11月3日に全議席が改選されるため、現時点で予想できない。上院も3分の1が改選されるため同じである。

 そうでなくても郵便投票を巡る訴訟合戦が予想される今回の大統領選に、またトランプの「不測の事態」という新たなカオスが加わったかもしれない。

 トランプのコロナ感染を受けて世論調査ではバイデンのリードが9%まで広がっている。

2020年10月8日

 
 

The Stray Times(有料版)の予告 第77回目

| 有料版記事予告 | 2020年10月04日 |

 10月5日(月曜日)の夕方に予定通り更新します。以下、予定内容です。
 
1 特別特集  NTTがドコモを完全子会社化する意味と思惑

 9月29日にNTTは、66.2%を保有する連結子会社のNTTドコモをTOBで完全子会社化すると発表した。そして翌30日から1株=3900円で買付けを開始している。NTTの投資総額は4.25兆円と過去最大のTOBとなり、NTTドコモは上場廃止となる。

 この背景にはいろんな意味と各方面の思惑が込められているが、その辺を歴史的、主の変わった官邸の意向、海外(とくに米国)の状況など各方面から検証してみる。

 世界の最先端から大幅遅れとなった日本の携帯電話を含む通信業界の失地回復とか、世界的に割高な携帯電話料金の引き下げのためなら結構なことであるが、あまり期待はできない。規制に守られた寡占業界の「権力構造」が少し変わるだけである。

 
2 株式市場における今後の「勝ち組」「負け組」   日本取引所グループ編

 10月1日に日本取引所グループの東京証券取引所で株式、ETF、REITなど全取引が終日止まってしまった。情報系システムが故障し、バックアップ・システムにうまく切り替わらなかったと説明されているが、どこか「他人事」である。

 これまた規制に守られた独占企業である東証(日本取引所グループ)の体質をよくあらわしている。証券取引所とは重要な国家インフラであるという自覚も何も感じられない。そこで東証を含む日本取引所グループの問題点を「日本の証券業を背負って世界と競争しなければならない上場企業」としての観点から検証する。

 
3 お勧め「書籍」「映画」コーナー

 「書籍」です。

 
2020年10月4日

最新有料記事サンプル


2021年3月01日配信分
今週の「一言加えたい」銘柄    東京電力編

今週の「一言加えたい」銘柄    東京電力編

 何でここで「別に面白くもない東京電力なのか?」であるが、ちょうど10年前(2011年3月11日)の東日本大震災で福島原発が壊滅的な被害をうけ、今も多くの住民に不自由な生活を余儀なくさせている東京電力だからである。

 そこで発生した膨大な被害の賠…


2021年3月01日配信分
特別特集  世界的な長期金利上昇の本当の理由 世界の株価に対する影響とは

特別特集  世界的な長期金利上昇の本当の理由 世界の株価に対する影響とは

 世界的に長期金利が上昇しており、それを受けて世界の株価も急落していると報道されている。しかし実際にはそんな単純なものではなく、このままだとますます政策が間違った方向に行ってしまい、最後にもっと大きな混乱に見舞われる…


2021年3月01日配信分
お勧め「書籍」コーナー

お勧め「書籍」コーナー

 今週のお勧めは、「一言加えたい」銘柄にも出てきた福島第一原発の大事故を取り上げた「今まであまり明らかにされてこなかった内容も含む」ドキュメントである。

「フクシマ戦記 上下 10年後のカウントダウン・メルトダウン」 船橋洋一・著
2021年2月26日発売  文芸…