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2022年の株式市場の「命運」を握るもの

| 株式編 | 欧州 | 米国 | 世界 | 日本 | 2022年2月10日 |

2022年の株式市場の「命運」を握るもの

 NYダウは1月4日に史上最高値の36977ドル(終値、以下同じ)となり、そこから1月27日の34160ドルまで7.3%下落し、昨日(2月9日)は35768ドルまで反発している。またNASDAQ総合指数は1月4日の15622ポイントから1月27日の13352ポイントまで14.5%下落し、昨日は14490ポイントまで反発している。NASDAQは一足早い2021年11月19日に16057ポイントの史上最高値となっていた。

 欧州ではDAX総合指数も1月5日の16271ポイントの史上最高値から1月24日の15011ポイントまで7.7%下落し、昨日は15482ポイントまで反発している。また日経平均は本年高値となった1月5日の29332円から1月27日の26170円まで10.8%下落し、昨日は27579円まで反発している。日経平均は2021年9月14日に30670円と32年ぶりの高値となっており、また1月27日の26170円は、2021年の安値となった8月20日の27013円を大きく下回っていた。

 2022年の世界の主要株式市場は、総じて年初の高値から1月下旬まで「かなり」下落し、そこから下落幅の半分程度(NYダウ)~3分の1程度(NASDAQ、DAX、日経平均)反発していることになる。

 NYダウとDAX総合指数の年初から1月下旬までの7%程度の下落は、FRBが年初に「初めて」総資産縮小を公表した影響が最も大きい。テーパリング(FRBの新規資産買い入れ額の減少)は昨年9月に公表され11月から始まっていたが、その間もNYダウとDAXは上昇を続けていた。逆にFRBがテーパリングを公表した9月に日経平均は32年ぶりの高値から下落を始め、テーパリングを実際に開始した11月にNASDAQは史上最高値から下落を始めている。

 FRBの総資産は、それまでの拡大一辺倒から、拡大のスピードダウン(テーパリング開始から終了)、さらに縮小(年初に確定的となり1月26日のFOMCで5~6月の開始が確実視される)と続くことになる。

2020年3月の最初のコロナショック以来、急拡大していたFRBを含む世界の中央銀行総資産(市場への資金供給量のこと)がレバレッジをかけて世界の株式市場を上昇させたなら、その拡大が止まりやがて減少に転じれば逆にレバレッジをかけて下落させるはずである。

また中央銀行の総資産拡大とは「需要の先食い」であり、いずれ地道な経済成長で解消させなければならない。しかしその「需要の先食い」は趨勢的に低下する世界の潜在成長率の中で「すでに解消不能」と感じる。その恩恵を最も受けた世界の株式市場も「将来の上昇をすでに先食い」しているはずで、加速する物価上昇もその結果であるなら「簡単に解消しない」はずである。

ECBも昨年9月には本年3月からテーパリングを行うと発表し、日銀は昨年2月から国債保有残高を減らす「隠れテーパリング」を開始しているが、DAXも日経平均も自国の中央銀行の総資産変動(予想)より、FRBの総資産変動に大きく影響されている。

一方でFRBなど中央銀行の利上げは総資産変動に比べて株式市場に与える影響は小さい。FRBは昨年9月のFOMCまでは2022年中の利上げはほとんど想定しておらず、12月のFOMCで「一気に」3回の利上げ予想としたが、その間にNYダウとDAXは上昇を続け、NASDAQと日経平均も「利上げ」で下落幅を拡大させたわけではない。

 本来(FRBに限らず)中央銀行の利上げは、経済活動の活発化を反映した「健全」なものであれば株式市場にはプラスとなる。ところが今回のFRBの利上げは明らかに物価上昇加速に「遅ればせながら慌てて」対応するもので、本来なら経済活動にも株式市場にもプラスにはならない。しかしこれまでのところ世界の株式市場がFRBなど中央銀行の利上げを特別気にしているようには見えない。2月3日にBOE(英国中央銀行)が2回目の利上げを行ったが、英国のFTSE指数は高値を更新中である。

 それでは世界の株式市場が、その影響が最も大きいはずのFRBの総資産縮小が5~6月開始と確実視された1月26日のFOMC以降、総じて反発しているのはなぜか?

 これは米国企業に限らず世界の企業業績が「予想外」に回復していた影響が大きい。それにまだFRBの総資産縮小開始まで時間があり、FRBに限らず世界の中央銀行の総資産はまだ急激に膨らんだままであるとの「安心感」がとりあえず出ているとも思われる。

 しかし世界の企業業瀬の「予想外」の回復は、エネルギー関連企業など「全般的な物価上昇の恩恵を受けたもの」が多い。国際情勢の緊張が長引けばエネルギーなど資源価格の上昇は止まらず、同時に企業が「全般的な物価上昇」を巧みに業績に反映させているなら世界の物価上昇は簡単に鎮静化せず、世界的な金融緩和の正常化(とくに総資産縮小)は想定以上に長引く。

 あまり安心しないことである。

2022年2月10日

The Stray Times(有料版)の予告   146回目

| 有料版記事予告 | 2022年2月06日 |

The Stray Times(有料版)の予告   146回目

 2月7日(月曜日)の夕方に予定通り更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  国際情勢緊迫化が「小休止」の間に考えておくべきポイント

 北京オリンピックが開幕した。さすがに大会期間中は国際情勢の緊迫化が「小休止」となるはずであるが、この間に国際情勢のポイントを解説しておきたい。

 また先週も世界で金融政策の正常化が「想定以上」に進んだが、株式市場は総じて反発した。しかし金融政策だけでなく国際情勢が世界の株式など金融市場に与える影響も考えておかなければならない。

 そこで今週は国際情勢と国際政治の解説が中心となる。

2,今週の「警戒すべき銘柄」   メタ(旧フェイスブック)

 先週は米IT大手5社の2021年10~12月期決算が出揃ったが、メタ(旧フェイスブック)だけが減益となった。発表を受けたメタの株価は一時25%を超える急落となり、時価総額が2300億ドルも吹き飛んだ。

 メタのビジネスモデルそのものに対する警戒感が高まった結果であるが、その辺を詳しく解説する。メタだけの問題で終わるとも限らないからである。

3、お勧め「書籍」コーナー

 選定中です。

2022年2月6日

最新有料記事サンプル


2022年5月23日配信分
今週の「警戒すべき」銘柄   楽天グループ

今週の「警戒すべき」銘柄   楽天グループ

 まずあまり関係がなさそうな話から始める。

 先週末(5月20日)に発表された4月の全国消費者物価指数は、総合で前年同月比2.5%上昇(3月は同1.2%上昇)、除く生鮮食料品では同2.1%上昇(3月は同0.8%上昇)と、消費税上げの影響を除くと2008年9月以来…


2022年5月23日配信分
特別特集  米国株はまだ下がるのか、そろそろ下げ止まり反発するのか?

特別特集  米国株はまだ下がるのか、そろそろ下げ止まり反発するのか?

その1  最初に問題提起

 米国株を中心に考える理由は、依然として米国株の動きが世界の株価に大きな影響を与えているからと、米国の物価、経済活動、企業業績、金融政策等が株価に与える影響が比較的「理論通り」だからである…


2022年5月23日配信分
お勧め「書籍」コーナー

お勧め「書籍」コーナー

 今週は百田尚樹氏が書いた「最初のミステリー」が文庫化されたタイミングでご紹介する。実は百田氏の作品は「日本国紀」が同じように文庫化されたタイミングで読んだだけである。

 このコーナーでもご紹介した日本通史であるが、ところどころ創作が入っており、歴史書なのか歴…