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世界の政権中枢にいる「水責めの女王」と「デフォルトの女王」

| テロ・陰謀・超現象編 | 国債・債券市場編 | 官僚組織編 | 政治・政策提言 | その他 | その他 | 世界情勢 | 2020年7月30日 |

 日本を含む各国政権や国際機関の中枢には女性が起用されることが多いが、世界を見渡すとびっくりするほどの「猛女」がいるものである。そこで今週は、ちょっと趣向を変えて掲題の2人をご紹介したい。

 まず「水責めの女王」とは、米CIA長官のジーナ・ハスペルである。

 ハスペルは現在63歳でCIAに35年間在籍しているが、ずっと秘密工作部門にいたため2018年までの公式記録が何も残されていない。2018年にトランプ政権によってCIA副長官に指名されて「少しだけ表に」出たものの、それまでは公私とも「米国で最も目立たない存在」だった。

 公然と囁かれる「功績」は、タイにあるCIA秘密軍事施設の責任者として同時多発テロに関わったアルカイダ幹部を拷問し、ビン・ラディン発見に繋がる情報を得たことである。そこで「水責めの女王」と呼ばれる。

 その「水責めの女王」がポンペオCIA長官(当時)の国務長官就任で、2018年5月に第25代CIA長官に指名された。上院も54:45で承認している。この投票結果はトランプ政権の閣僚としては「好成績」の部類である。共和党からマケインら2人が反対したが、民主党から6名も賛成に回って承認された。

 世界最大の諜報組織のトップとなった「水責めの女王」は、今も全世界のCIA工作員に過激な指令を飛ばしているはずである。その役割は米中関係の緊張化で、ますます重要となっているはずであるが、CIAの工作やハスペル自身の動向が表に出ることはない。

 次に「デフォルトの女王」とは、アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル副大統領である。すでにアルゼンチン大統領を2期(2007~2015年)務めているため憲法の規定で大統領になれない。

 2019年12月に当選したアルベルト・フェルナンデス大統領は、かつての閣僚(官房長官)で、今もフェルナンデス・デ・キルチネルは「実質的な大統領」である。

 その政策は典型的なポピュリスト(ばらまき型)で、67歳とは思えない派手な風貌と国民を引き付ける演説で、今もアルゼンチンでは圧倒的人気がある。

 そして「デフォルトの女王」は、2000~01年にデフォルトした国債をあのポール・シンガーら凄腕ハゲタカファンドに大量に買い占められながら、大統領時代の8年間に一切の交渉を拒否(ホールドアウト)し、嵐のような差し押さえを凌ぎ1ペソも支払わなかった。この辺の攻防は黒木亮氏の「国家とハイエナ」に詳しい。

 ポール・シンガーらが巨額利益を得るのは、後任大統領となった実務派のマウリシオ・マクリが国際金融市場への復帰を目指して「妥協」したからである。ただ実務派のマクリは1期務めただけで、アルゼンチン国民は再びポピュリストというより「デフォルトの女王」を実質大統領に選んだことになる。

 そして早速、2020年5月に償還期限のきたアルゼンチン国債の利払いを止め、今もまともに債権団との交渉の席についていない。このままだとこれまでのデフォルトで債務再編に応じた投資家に割り当てた長期国債や、マクリ時代に国際金融市場に復帰して発行したドル建て100年債などもデフォルトすることは確実である。

 もちろん「デフォルトの女王」の在任中は(副大統領=実質大統領に再選されれば2027年12月まで)債権者に1ペソも支払わないはずである。農作物も鉱業資源も豊富なアルゼンチンは、別にデフォルトしても誰も困らない。アルゼンチンペソも1980年代後半に1ドル=1ペソで固定されていたことがあるが、現在は1ドル=72ペソである。

 ただフェルナンデス・キルチネルは中国にかなり近いことは注意を要する。すでにアルゼンチン国内に中国の軍事施設がある。またアルゼンチン出身のフランシスコ教皇との関係は微妙である。バチカンは今も台湾を承認していることもある。

 さて日本でも自称「女性宰相候補」が複数いるが、これら女王と比べると迫力が違いすぎてお話にならない。

2020年7月30日

The Stray Times(有料版)の予告 第67回目

| 有料版記事予告 | 2020年7月26日 |

The Stray Times(有料版)の予告    第67回目

 7月27日(月曜日)の夕方に予定通り更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  だんだん無力になり、内外の国難に対処できない安倍政権について

 既に累計では史上最長で、間もなく再登板後でも連続最長となる安倍政権であるが、最近とくにその無力ぶりが目立つ。国内では強力な野党も存在せず、与党内でもすぐに退陣を求められる危険性もない。ところが再拡大するコロナウイルスにも、低迷する経済にも全く指導力を発揮できず、全くの無力である。

 さらに国際的には米国と中国の覇権争いがし烈化しており、日本が中国側につく選択はありえない中でも、いまだに中国に対する「異常な卑屈さ」が目立つ。

 つまりこういう難局に際し、安倍政権の国内外における無力ぶりは「まさに国難」となる。そこで安倍政権を巡る根本的な問題点と「とりあえずどうすればよいのか?」だけでも真剣に考えてみたい。本誌があれこれ言っても安倍政権の指導力に反映されるとは思わないが、国民として「何らかの自衛力」には役立つと思うからである。

2 株式市場における今後の「勝ち組」「負け組」  ファミリーマート編

 日本経済の動向とくに消費活動を最も正確に反映するはずのコンビニ業界は、本シリーズでも定期的に取り上げているが、だいたいその中心はセブン&アイ・グループである。

 今回はファミリーマートを取り上げる。伊藤忠のTOBによる完全子会社化がすでに発表されているが、コンビニ業界全体が変調になるときはだいたい(大手3社のうち)最も問題を抱える1社(つまりファミリーマート)から変調が始まるからである。

 ファミリーマートを通じてコンビニ業界の変調、さらには日本経済における消費活動の本格低迷の「兆し」を見極める。

3 お勧め「書籍」「映画」コーナー

 時節柄「中国」に関する書籍を1冊だけ厳選してお届けしたい。

2020年7月26日

最新有料記事サンプル


2020年10月19日配信分
特別特集  米大統領選を奥深く理解するために  前半

 予告から表題も内容も変更した。その理由には民主党の大統領候補であるバイデンの不正の物証が次々と出てきたこともある。

 ここで息子ハンターを前面に出したバイデンの「ウクライナや中国から副大統領の職権を利用した不正な資金受領(つまり賄賂)」の証拠となるメールが出てきたとか、米国主流メディアが…


2020年10月19日配信分
株式市場における今後の「勝ち組」「負け組」   セブン・イレブン編

 上場している親会社はセブン&アイ・ホールディングスであるが、今週はその主要部門であるコンビニのセブン・イレブン編である。

 コロナウイルスの影響でここ1年(2019年7月~2020年6月)の日本のGDPはちょうど10%減少し、2020年通年の予想は5.3%の減少となっている。ということは2020年後半にかなりの…


2020年10月19日配信分
お勧め「映画」コーナー

 今週は久々に「映画」で、上映直前のこの作品を先行してご紹介するつもりだったが、肝心の日本での上映開始が10月23日から12月18日に変更されてしまった。

 当初から「見る前にご紹介しておきたい作品」であり、それは上映延期になっても変わらないため、そのまま掲載することにした。

「ナイル殺人事…