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旧村上ファンドの東芝機械に対するTOBで明らかになる諸問題

| 株式編 | 日本 | 東芝機械 | 2020年1月25日 |

 村上世彰氏が率いる投資家グループ(以下「旧村上ファンド」)が、東芝機械に対してTOBを宣告し、東芝機械も徹底抗戦する模様である。

 外部から見ているとなかなか分かりにくいが、簡単に言ってしまうと1月10日に旧村上ファンドから「TOBの可能性あり」との予告を受けた東芝機械が、1月17日に独立取締役3名からなる独立委員会を設置し、取締役会は同委員会の勧告を受けてTOBに対する対抗措置(具体的にはTOB宣告者以外の全株主に対して新株予約券を無償で割り当てる)を取ると公表した。

 旧村上ファンドは1月21日に予定通りTOBの実施(買い付け価格3456円)を公表するとともに、翌22日には東芝機械に対して上記決定は「臨時株主総会」による承認が必要であるとし、同総会の開催を求めている。

 東芝機械は、約22%を保有していた東芝が2017年に経営危機となった際に持ち株の大半を売約し、東芝機械が自社株買いで取得したため大株主がいなくなっている。一方で、旧村上ファンドは2018年ころから東芝機械株を徐々に買い集め、直近では同社株式の12.75%を取得しているようである。

 ポイントは、旧証券取引法の適用対象を拡大し、より厳格化して2007年9月に施工された金融商品取引法には曖昧なところが数多くあり、一方で罰則規定だけは厳格化されているため捜査機関を含む金融当局の「恣意的な判断」が横行しているところである。極論すれば「誰の見方でも、誰の反対でもできる」あるは「誰でも逮捕でき、誰でも見逃せる」ことになる。

 またそこを「公平に判断する」はずの裁判所も、時には「唖然とするような判断」が出てきて、それがそのまま判例となり適用されていくことにもなる。

 本件について言えば、東芝機械のいう取締役会にTOB対抗策の決定権限があるか?仮に株主総会の承認が必要となれば普通決議なのか特別決議なのか?あたりがポイントとなる。

しかし本誌は、旧村上ファンドが1月10日に文書で「TOBの予告」を通告しているが、そのずっと以前から同様の通告を口頭などで行っていたはずで、その「TOBの予告」がインサイダー取引に規定する重要情報に該当するのか?が最も気になる。もし該当していれば旧村上ファンドはその後も同社株式を買い増しているため、インサイダー取引となり刑事事件となってしまう。

 要は、どちらが正論なのかについては、東芝機械側は村上氏の言うように「経営陣の保身」でしかなく、村上氏側も東芝機械の言うように「会社資産を横取りする」ことでしかなく、どっちもどっちである。

 それにはとりあえず目をつぶり、純粋な法律論だけで考えようとしても、金融商品取引法は前述のように曖昧なところだらけで、結局のところ捜査機関、裁判所、金融当局などが「どちらの味方なのか?」に尽きることになってしまう。

 そう考えると「答えは決まっている」ことになる。しかし1月21日に提出された公開買付届出書によると、村上ファンドは公開買付者とその共同保有者の合計で東芝機械株式を3,076,200株保有している。東芝機械の発行済み株数は29,977,106株であるが、そこから議決権のない自己株5,841,875株などを控除した24,135,231株に対する割合は12.75%となる。

 そこにTOBによる取得が上限750万株、下限350万株と公表されているため、もしTOBが成功すれば保有株比率(議決権ベース)は最大43.82%となる。 村上氏はTOBの上限でも持ち株比率が50%を超えないことに対して「他の株主の権利を重視している」と話している。

 そこで今回は、東芝機械、旧村上ファンドのどちらの主張が「正論」なのかは横に置き、それぞれどうすれば相手に勝てるのかを実戦的に解説しようと思う。予告に注目していただきたい。

(お詫びとお断り)
本原稿の最後の3つのパラグラフは、各発表数字を改めて精査した結果「違っていたところ」があったため、お詫びして訂正させていただいた。

 

2020年1月25日