2020/10/18(日)

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コロナウイルスと世界経済と株式市場

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 株式編 | 経済編 | 世界 | 世界 | 2020年8月14日 |

 本年2月中旬まで上昇を続けていた世界の株式市場は、まだ中国以外でコロナウイルス感染者がほとんど出ていなかった2月下旬から急落し、同じくまだ世界の感染者が本格的に増加する前の3月中~下旬に底値をつけた。そしてその感染者が再拡大し実際に世界経済や各国の企業業績が大きく落ち込む現時点では本年高値をほぼ回復している。

 NYダウは2月12日に29551ドルの史上最高値をつけた後、3月23日に18591ドルまで急落し、昨日(8月13日)は27896ドルまで回復している。ハイテク企業が多いNASDAQ市場に至っては3月23日の6860ポイントの安値から、昨日は史上最高値の11042ポイントとなっている。

 日経平均も1月20日の24083円(2月21日もまだ23386円だった)から3月19日の16552円まで急落し、8月13日は23242円まで回復している。

 その理由は、米国は3月末~4月にかけて3兆ドルの財政支出を行い、その前にFRBが3月中旬~5月下旬にかけてほぼ同額の資産購入を行い国債発行増を肩代わりし、EUも追随したからである。日本も「形だけ」は追随したものの中身はお粗末であるが、米国の株高のお陰で日経平均も「かなり」上昇している。

 先述のようにコロナウイルスの感染者が世界的に再拡大し、2020年4~6月期の米国GDPが前期比年率換算32.9%減、EUも年率換算40.3%減となった。日本は8月17日に発表されるが、民間の予想平均は前期比年率換算26.3%減となっている。

 これは2020年4~6月期だけで(年率換算ではなく)米国と欧州経済だけで550兆円近くGDPが減少したことになり、日本のGDPもピークだった2019年7~9月期から2020年4~6月期までに52兆円(9.6%)も減少すると予想されている。

 世界経済は2020年7~9月期には、コロナウイルス感染拡大の終息で急回復すると予想されていたが実際はかなり「怪しく」なっている。当然に企業業績も一部ハイテク企業や製薬企業を除いて大きく落ち込み、大半の後進国では財政赤字拡大と通貨下落に見舞われ、国際政治も米中間の緊張拡大だけでなく世界各地でキナ臭くなっている。

 そういう中での株価上昇である。先進国だけでなく経済・金融危機の一歩手前である後進国でも、株価はペースは遅いものの「回復」している。

 その背景にはもちろん世界的な金融緩和・量的緩和があり、有り余る投資(投機)資金が経済活動にではなく世界の株式投資に向かっているからである。また経済活動が回復しない限り本格的に上昇しない資源など商品市場にも、金や銅など一部には投資(投機)資金が流れ込んでいる。

 そもそも世界の株式市場における今回の(2月下旬~3月下旬)急落の「1つ前の急落」は、2016年6月の英国のEU離脱時であった。つまり世界の株式市場は、経済の不振とか国際紛争など「ありきたり」の悪材料では、一時的に下落してもすぐに「何事もなかったかのように」上昇を続けてきた。そこで英国のEU離脱とか、今回のコロナウイルスなど「今まで見たことがなく、その影響がすぐには読み切れない材料」が出たときにパニックが広がり株価急落となる。その時はそれまで安易に積みあがっていた世界のポジションが一気に解消されるため「びっくりするほどの」急落となってしまう。

 しかし現在のコロナウイルス再拡大は「少し前に見た材料」であり、そこで世界的な金融緩和・量的緩和が再出動した「危機対応能力」もまた期待できるため、パニックにならず株価が再度急落することはない。「危機対応能力」が発揮されれば世界経済も企業業績も回復するため、株価も回復するなら投資(投機)資金も潤沢にあるので「早く買っておかなければならない」となるからである。

 英国のEU離脱も、いくらモタモタしようとも、その後の世界の株価下落を引き起こしたことはない。そう考えると世界経済の減速はリーマンショック以降「何度も見てきた風景」であり、米中間の緊張激化も2年以上続いているため、どちらも改めて株価の下落材料にはならない。

 それでは「危険な兆候」はないのか?

 それは米国の長期金利(10年国債利回り)が0.5~0.7%のレンジから一向に上昇しないことである。長期金利というものは、仮に政策金利がゼロでもマイナスでも、また中央銀行が国債など長期債を買い入れていてもいなくても、ひとたび経済活動に対する市場の「見通し」が改善すれば「すぐに」上昇するものである。

 その米国の長期金利は2018年秋には3.2%、2019年末にも1.9%あった。現在は株価がいくら上昇しても0.5~0.7%のレンジである。長期金利が上昇しないということは米国経済の潜在成長率が低下を続けており、日本が大先輩であるが「いくら金融緩和・量的緩和を続けても」経済が一向に回復しないことになる。

 現在の世界の株価上昇は、特に米国経済がFRBの金融緩和・量的緩和で「いずれ」回復し、現在の世界の株価水準を正当化するという「期待」に基づいている。

 それが「実際にはもう崩れている」ことになる。後はそれを世界が「どのタイミングで認識するか」である。たぶんなかなか認識せず、何かをきっかけに株価が下落を始めれば一気に世界の株式市場に伝播していくことになる。その「きっかけ」とは、今まで見たこともなく、その影響が計り知れない「何か」である。

 今まで見たことがない「何か」を、今から予測することは不可能である。

2020年8月14日

The Stray Times(有料版)の予告 第69回目

| 有料版記事予告 | 2020年8月09日 |

 8月10日(月曜日)は祝日ですが、予定通り夕方に更新します。最近とくに内外で解説すべきテーマが加速度的に増加しており、それだけ世界情勢が加速度的に緊張感を増していることになる。ますます日本政府の対応が頼りないように思えてならない。

 一方で、日本企業でも4~6月期の決算発表が続いているが、やはり驚くほど業績が落ち込む企業が多く、それぞれの対策についても問題が多いように感じる。つまりここで解説しておくべき企業が多数あることになるが、紙面の関係もあり2社ずつ取り上げていくことにする。

 そこで今週は(今後のしばらくは)テーマは同じでもできるだけコンパクトにまとめて、できるだけ多くの情報をお届けすることにしたい。

 

1 特別特集  米中間の戦闘激化と、忘れがちな新興国経済の危機的状況

 今週は日に日に激化するトランプ政権の対中国強硬路線を取り上げて解説したい。もちろんトランプの大統領戦略であることは間違いないが、かといってこのまま「隠れ親中派」のバイデンを、単にトランプの政策を批判するだけで当選させるわけにはいかない。バイデンは歴代の民主党・親中議員の中でも最大級の親中派で、実際に巨額の経済的メリットを受けている。当選すればホワイトハウスの半分を中国(習近平)に引き渡すことになり世界の政治バランスが大きく狂ってしまう。

 もう1つは後進国経済の「惨状」についても付け加えておく。先進国のコロナ対策は財政支出拡大を中央銀行の信用創造に依存して経済の底割れを回避し、特に株式市場を上昇軌道に戻してしまった。結果的に貧富の差を拡大させたことになるが、後進国経済はそうはいかない。このままだと後進国発の経済・金融危機が近いうちに勃発する。

 また新興国経済にプラスになるはずの金など資源価格上昇についても付け加えたいが、それなりに長くなるため来週以降になるかもしれない。

 

2 株式市場における今後の「勝ち組」「負け組」  バークシャー・ハサウェイ編

セブン&アイ・HD編

 たくさんある書きたい企業から2020年4~6月期決算が発表されたばかりのバークシャー・ハサウェイと、米国で巨額買収を決めたばかりのセブン&アイ・HDをとりあげる。

 それ以外に決算発表が出たばかりのトヨタ自動車を含む世界の自動車産業(もちろんルノー・日産連合も)、メガバンク、株価上昇の「どさくさ」にまぎれて米本社の株式の一部を売却しようとしているマクドナルド(親会社)、総合商社トップとなったが中国に傾注し過ぎている伊藤忠、航空会社に負けず経営が低迷しているJR各社、公開企業ではないが民業圧迫の代表でありながら国民のための放送などやっていないNHKなど、書きたい企業が「山ほど」あるため、出来るだけキャッチアップしていきたい。

 先週書いたバイトダンスも大幅に書き足りないが、これは今週の特別特集の中で補充し

ていく。

 

3 お勧め「書籍」「映画」コーナー

 まだ未定。

 

2020年8月9日

最新有料記事サンプル


2020年10月19日配信分
特別特集  米大統領選を奥深く理解するために  前半

 予告から表題も内容も変更した。その理由には民主党の大統領候補であるバイデンの不正の物証が次々と出てきたこともある。

 ここで息子ハンターを前面に出したバイデンの「ウクライナや中国から副大統領の職権を利用した不正な資金受領(つまり賄賂)」の証拠となるメールが出てきたとか、米国主流メディアが…


2020年10月19日配信分
株式市場における今後の「勝ち組」「負け組」   セブン・イレブン編

 上場している親会社はセブン&アイ・ホールディングスであるが、今週はその主要部門であるコンビニのセブン・イレブン編である。

 コロナウイルスの影響でここ1年(2019年7月~2020年6月)の日本のGDPはちょうど10%減少し、2020年通年の予想は5.3%の減少となっている。ということは2020年後半にかなりの…


2020年10月19日配信分
お勧め「映画」コーナー

 今週は久々に「映画」で、上映直前のこの作品を先行してご紹介するつもりだったが、肝心の日本での上映開始が10月23日から12月18日に変更されてしまった。

 当初から「見る前にご紹介しておきたい作品」であり、それは上映延期になっても変わらないため、そのまま掲載することにした。

「ナイル殺人事…