2021/10/24(日)

16時25分14秒

The ST

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

ドル/円

タリバンによるアフガニスタン完全制圧は、バイデンによる確信的明け渡し

| 政治・政策提言 | 米国 | 中国 | 2021年8月20日 |

タリバンによるアフガニスタン完全制圧は、バイデンによる確信的明け渡し

 2001年9月11日の同時多発テロに襲われた米国は、当時のブッシュ(息子)大統領がビン・ラディンらアル・カイーダの犯行と断定、その引き渡しをアフガニスタンのタリバン政権に要求した。タリバンは1996年からアフガ二スタンを制圧していた。

 もちろんアフガニスタンも簡単に応じないため、米国は国連安全保障理事会などに働きかけて、珍しく中国、ロシアを含む前回一致でテロ非難決議が採択された。2001年10月7日、米英連合軍がインド洋の艦隊から爆撃機により攻撃し、首都カブールや、タリバンの拠点であるカンダハルを攻撃した。2か月でタリバン政権は崩壊し、米軍は米国主導による民主政治体制の確立を目指すことになる。

 ただ同時多発テロはアル・カイーダの単独犯行との説には異論も多く、何よりもブッシュ政権の副大統領が軍産複合体の利益代表であるディック・チェイニーだったこともあり、数多くの疑問が残るが今回は割愛する。米軍がアフガニスタンに投入した戦費は9兆円を超える。

 その後、クリントン政権、オバマ政権ともアフガニスタンからの米軍撤退に踏み切れず、トランプ政権も撤退を公約とするが踏み切れず、とうとうベトナム戦争を抜いて「米軍史上最長の戦争」となってしまった。その背景には複雑な中東情勢を考えると、軽々な撤退は世界の平和にプラスにならないという各政権の判断があったはずである。

 ところがバイデンは簡単に2021年夏までの完全撤退を発表してしまった。単純に米軍史上最長のアフガニスタン戦争を終了させたという「レガシー」が欲しかっただけである。

 ところが米軍がまだ完全撤退する前の8月15日、イスラム原理主義のタリバンが首都カブールを含むアフガニスタン全域をほぼ制圧してしまった。米国が20年も支援していた民主政権のガニ大統領は、さっさとヘリコプター4機に札束(1億6900万ドル)を詰め込んでUAE逃亡した。

 ここで疑問がいくつか残る。

 1つ目は、タリバンのアフガニスタン全土制圧までたった数日間しかかかっておらず、手際が良すぎる。米国主導の民主政権に人気がなかったならわからないでもないが、空港では米軍機にしがみついても脱出しようとするアフガニスタン国民が数多く見られ、少なくとも国民がタリバン政権を待望していたとは思えない。タリバン政権は女性にブルカ着用を義務付け、参政権など女性の権利をすべて無効にする。

 2つ目は、これはタリバンによる政治革命とすれば、旧政権で権力者だったガニ大統領らは真っ先に身柄を拘束されるはずである。ところがガニ大統領は悠々と大金を携えて国外逃亡してしまった。後に公金横領で逮捕状が出ているが、逃亡後は意味がない。つまりタリバン政権は旧権力者を黙って逃亡させたことになる。

 最後に中国政府がタリバン政権を支持している。中国共産党はウイグル自治区への弾圧を通じイスラム教を弾圧している。その昔はチベット仏教を弾圧している。共産主義にとって宗教は邪魔になるはずである。ところが今回は典型的なイスラム原理主義のタリバンを支持している。

 この辺から考えると今回の米軍のアフガニスタン撤退は、タリバンがウイグルを支援する中国のリスクを軽減するために、バイデンがアフガニスタンの民主派と米軍の今までの努力をあっさりと見捨てたことになる。その結果、新たにテロ国家が誕生してしまったことになる。

 本音では中国に逆らえない米国大統領の存在は、世界をますます不安定にする。

2021年8月20日

 

The Stray Times(有料版)の予告   122回目

| 有料版記事予告 | 2021年8月15日 |

The Stray Times(有料版)の予告   122回目

8月16日(月曜日)の夕方に予定通り更新します。以下、予定内容です。

1,特別特集  世界の株式市場は再び上昇するのか?

 本誌は7月中旬に、米国をはじめ世界の株式市場の中期通しを「やや弱気方向」に微修正し、そう考える理由を3回に分けてこのコーナーで書いた。すでに目の前に「山ほど」現れている株式市場に対する懸念材料を、ようやく市場参加者が認識し始めたと感じたからである。

 ところが先週は世界の株式市場が上昇し、先週末(8月13日)にはNYダウとDAXが過去最高値を更新した。

 そこで、微修正した各理由に何か変化があったのか? 何か新しい材料が現れたのか? などを再チェックする。結論は「何も変わらない」である。

2,今週の「一言加えたい」銘柄   ソフトバンクグループ(SBG)編

 8月10日に2021年4~6月期決算を発表したSBGを取り上げる。決算内容は「思ったほど中国政府の強硬姿勢に影響されていなかった」であるが、現時点の状況予想まで含めてSBGの今後について考える。
 
 
3,お勧め「書籍」コーナー
 
 終戦記念日に関連する「書籍」をご紹介したい。

2021年8月15日

最新有料記事サンプル


2021年10月18日配信分
特別特集   円安を止めるべし!

特別特集   円安を止めるべし!

 円安が進んでいるが、このタイミングでの円安進行は日本をますます貧しくするだけの「非常に悪い円安」で、早急に止める必要がある。これまでも何度か書いてきたが、今週はこのポイントに絞って、過去の検証も加えて詳しく書きたい。

 その前に、先週(10月11~15日…


2021年10月18日配信分
お勧め「書籍」コーナー

お勧め「書籍」コーナー

 今週も、中国に関連する「書籍」である。地政学的に中国の脅威に最も晒されている国が日本であるため、中国の知識はいくらでも吸収しておかなければならない。

「米中対立」  佐橋亮・著  中公新書   1034円

 「アメリカの戦略転換と分断される世界」との副題が…


2021年10月18日配信分
今週の「一言加えたい」銘柄     「日本国」編

今週の「一言加えたい」銘柄     「日本国」編

 今週は、言い間違いでも考え違いでもなく「日本国」である。もちろん「日本国」は銘柄ではなく、企業組織でもなく、もちろん株式市場に上場しているわけでもない。

 しかし日本の財政を所管する財務省、主要マスコミ、それにカイル・バス(注)のよ…