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微妙に上昇率が鈍化していた米国の7月消費者物価指数

| 為替編 | 経済編 | ドル(円) | ユーロ | 日本 | 米国 | 2022年8月11日 |

微妙に上昇率が鈍化していた米国の7月消費者物価指数

 日本時間8月10日の21時半、世界中で注目されていた米国の7月消費者物価指数が発表され、前年同月比で8.5%の上昇となった。

 事前予想は同8.7%上昇だった。2022年に入ってからの米国消費者物価上昇率の推移は、6月が同9.1%、5月が8.6%、4月が8.3%、3月が8.5%、2月が7.9%、1月が7.5%、そして1年前の2021年7月が5.4%だった。

 発表された数字を見ると、6月がインフレのピークだった可能性があるが、上昇率そのものはウクライナ侵攻を受けて利上げを開始した3月とほぼ同水準である。つまり「金融引き締めによるインフレ抑制効果はまだ出ていない」ことになる。また7月の前月比上昇率は久々のゼロとなり、6月の1.3%を大きく下回った。

 米国の物価を大きく上昇させていたガソリン価格はピークから約20%下落したが、前年同月比ではまだ44%も上昇している(前月比では7.7%下落)。また食品は同10.9%上昇(1979年以来43年ぶりの上昇率)、電気料金は同15.2%の上昇と家計の負担増は緩和されていない。

 足元の米国経済は6月に入ったあたりから景況感が「軒並み」悪化に転じていた。先週(8月6日)発表された雇用統計で雇用者数が52万8000人増加していたのは「久々に」見た米国経済回復のニュースである。

 また原油価格(WTI)は直近高値となる6月14日の1バレル=123.66ドルから8月5日には一時87.83ドルまで下落するなど(8月10日終値は91.56ドル)、7月中の米国経済は低迷し主要商品価格も下落していたことを考えると、発表された8.5%という7月の消費者物価指数は「予想より低かったものの諸環境を考慮すると全く気を抜けない上昇率」だったことになる。

 それでは8月6日の米国金融市場は、消費者物価指数の発表直後からどう動いたのか?

 まず政策金利の市場予想を反映する2年国債利回りは発表直後に3.27%から3.11%まで下落し3.22%で終わった。現時点の政策金利は2.25~2.5%であるため、「2022年末に3.4%」という6月FOMCで発表されたフォワードガイダンスに近いところまで市場見通しが「追い着いている」ことになる。2年国債利回りは7月29日に2.83%まで低下していた。

また経済活動の市場予想を反映する10年国債利回りは発表直後に2.79%から2.69%まで下落し2.78%で終わった。依然として景気後退を示唆する「負のイールドカーブ」は拡大中である。

為替市場では、発表直後にドル円が1ドル=135.00円から「瞬間的に」132.71円まで下落し、夜半には132.00円まで円高となり132.87円で終わった。またユーロドルも発表直後に1ユーロ=1.0258ドルから1.0343ドルまでユーロ高となり1.0298ドルで終わった。長期的なドル金利予想の低下による「緩やかなドル安」である。

 そして米国株式市場は朝方から急伸し、NYダウが535ドル高の33309ドル、NASDAQ総合指数は360ポイント高の12854ポイントで終わった。NYダウは6月FOMCで利上げが加速された直後の本年最安値(6月17日の29888ドル)から11.4%、NASDAQ総合指数も同じく(6月16日の10646ポイントから)20.7%も上昇している。

 金融市場の反応は、米国債市場は理論的に、ドルの水準は緩やかに、株式市場だけ「過剰に」反応したことになる。

 これは8月5日の雇用統計の急回復を受けて米国ストラテジストが一斉に「利上げ再加速による米国株下落」に予想を変更し、10日の消費者物価指数を受けてその大半が慌てて「インフレ鎮静化による米国株上昇」に再変更した節操のなさに振り回されたこともある。

 9月FOMCが開催される9月20~21日までまだ40日ある。そこまでは米国の経済指標(特に景況感指数や先行指数)や物価指数に振り回される金融市場(とくに株式市場)が想定される。本日(8月11日)の日本市場はお休みであるが、米国では7月の卸売物価指数(6月は前年同月比11.3%上昇)が発表される。

 FRBの金融引き締めはドルの価値を維持してドル基軸通貨体制を堅持するという「国家戦略」が背景にあるため、目先の経済指標や物価統計に一喜一憂せず「インフレが十分に鎮静化するまで腰の据わった金融引き締め」が継続される。

 米国株式市場だけでなく日本や欧州を含む世界の株式市場が「はしゃぎすぎ」であることだけは間違いないと感じる。

2022年8月11日

 

疑惑の凶弾 その7

| テロ・陰謀・超現象編 | 政治・政策提言 | 日本 | 2022年8月08日 |

疑惑の凶弾 その7

 安倍元首相が凶弾に倒れて亡くなった7月8日から1か月が経過しようとしているが、ネット上では銃撃犯とされる男以外の「銃撃犯」の存在など陰謀論が溢れ始めた。

 決して好ましい状況ではないが、何しろ捜査当局から銃撃事件について一切の説明がないため、ある程度はやむを得ない。

 その捜査当局の見解を唯一伝えているのが、7月20日に開催された自民党の治安・テロ対策調査会において、出席していた青山繁晴・参議院議員の質問と検察庁・警視庁幹部の回答部分だけを青山議員の責任で自身の動画「ぼくらの国会」に7月21日付けで公開したものである。

 そしてその「続き」が8月5日付けで公開されたが、7月21日付け動画の内容と「微妙に」違うような気がしたため、7月21日付けと8月5日付けの動画をもう一度聞き比べてみた。その結果、7月21日時点の動画では「ほとんど強調されていなかった部分」までよく聞き入れると、ほとんど違いがないことは理解できた。

 そこで8月5日付け動画で改めて明らかになった捜査当局の見解は以下の通りである。

 まず安倍元首相は「失血死」である。7月8日の医師団の会見では「心臓(心室)が損傷していた」との説明があったが、捜査当局の見解では「心臓は損傷していない(つまり死因ではない)」となっている。これは安倍元首相の死亡確認直後から6時間かけて行われた司法解剖の結果であり、同日の「医師団の会見」とは食い違っているとも付け加えている。

 それでは致命傷となった銃弾は、銃撃犯とされる男の手製銃から2回目に発射された銃弾のうち(1回目は全弾が外れた)、安倍元首相の左上腕部から体内に入り鎖骨下の大動脈を損傷させたものである(だから失血死となる)。その銃弾は射出口のない盲管銃創であるにもかかわらず、司法解剖でも体内から発見されていない。

 さらに安倍元首相はもう1発被弾しており、その銃弾は首の右前部分から体内に入り右肩部分の骨に当たって(骨折している)止まっており、この銃弾は発見されている。

 つまり捜査当局は銃撃犯とされる男の「単独犯」と断定しており、安倍元首相が被弾した2発の銃弾は、ほぼ同一方向から飛んできた(つまり銃撃犯とされる男の手製銃から発射された)と結論づけている。1発の銃弾は発見されているため捜査当局は銃撃犯とされる男の「単独犯」として公判維持ができると考えていることになる。

 これが捜査当局の(本来は表に出なかったはずの)公式見解となるが、そこで「新たな疑念」が出てくる。

 8月2日付け「疑惑の凶弾」その6でも書いた通り、日本では何故か閲覧できなくなっている安倍元首相被弾の瞬間を(2発とも)捉えた動画では、首の右前部分から体内に入ったとされる銃弾の方が一瞬だけ早く着弾している。一瞬ではあるが同じ手製銃から同時に発射された銃弾であるとは言えない「時間差」である。

 さらに同じ手製銃から発射されたなら「弾道がほぼ同じ」でなければならない。捜査当局の言う「首の右前部から体内に入り右肩の骨に当たって止まった銃弾」とは、左上腕部から体内に入り鎖骨下の大動脈を損傷した銃弾と「同じ方向から飛んできた」と決めつけるための解釈と感じる。

 ここは動画を見た限りでは断定できないが、直後に駆け着けた近くで開業されている医師の説明では銃撃直後に安倍元首相の心臓は停止しており、その時点のニュースでも心肺停止状態と報道されていた。捜査当局の見解では銃撃直後の安倍元首相の心臓は無傷で生存していたことになる。

 ここは首の右前部分から体内に入った銃弾が右肩の骨に当たって止まったのではなく、もっと高い角度から発射されて右首のどこかから体内に入り、心臓に直接損傷を与えていたと考えたほうが自然である。

 つまりこの銃弾は銃撃犯とされる男の手製銃から同時に発射されたものではない可能性が残る。捜査当局が捜査状況を開示しない理由は公判維持のためであるが、たまたま青山議員の2本の動画から「捜査当局が用意しているシナリオ」の一端が明らかになった。

 青山議員は「捜査当局が嘘をついているとは思わない」と繰り返し強調しているが(1発の銃弾が発見されていないという不都合な真実まで伝えているから)、客観事実だけを積み上げても拭いきれない「新たな疑念」が出てきたことも事実である。

2022年8月8日

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