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日経平均急落の理由

| 経済編 | 日本 | 米国 | 2021年2月26日 |

日経平均急落の理由

 本日(2月26日)の日経平均は1202円安(3.99%安)の28966円(終値、以下同じ)となった。前日(2月25日)のNYダウも559ドル安(1.75%安)となっており、ともに久々の急落となった。

 日経平均はコロナウイルスに見舞われた2020年3月19日の16552円から本年3月16日の高値・30467円まで84.0%も上昇し、NYダウは2020年3月23日の18591ドルから本年2月25日の高値・31961ドルまで71.9%も上昇していた。単に上がりすぎたので下落したわけではない。

 ここからの予想は、日経平均よりNYダウと米国の財政政策・金融政策の関連で考えてみたい。

 コロナウイルスの影響により米国の2020年4~6月期GDPは前期比年率32.9%ものマイナスとなり、GDP実額で約2兆ドルが吹き飛び、2400万人の雇用が失われた。当時のトランプ政権はこの間に計2.7兆ドルの財政支援を行った。この財源は国債の新規発行であるが、その間にFRBは2.2兆ドルもの国債を買い入れて需給関係悪化を食い止めた。

 2020年4~6月期に限ってみれば、失われたGDPを補填する以上の財政支援が行われたが、その間の家計の貯蓄率は10%も上昇して16%になったため消費など経済活動が十分に回復したわけではない。つまりこの時期の2.7兆ドルの財政支援は大きすぎるわけではなかった。

 ところが米国経済は翌7~9月期から回復していった。2020年通年のGDPは前年比3.5%のマイナスまで回復し、失業者も1000万人増加したままであるが失業給付の上乗せは減額されたものの継続されている。日本のような「旅行に行かないと補助金が出ない」といったわけのわからない政策はない。

 つまり2020年後半から米国経済が上向いたため、2020年4~6月期の落ち込みを補填するために投入された財政資金は当然に余剰となる。一度投入された財政資金は消えないため、どこかに滞留する。実際には設備投資など長期の投資に回すほど市場は自信がないため、身近な株式投資に向かった。また家計への財政資金も消費に回るというより株式投資に向かった。目の前で株価が上昇していたからである。

 本来なら米国経済の回復に伴い過剰に供給された財政資金は(FBRを通じて)ある程度吸収しなければインフレになる。ところがFRBは月額1200億ドルの国債とMBSを買い続け、物価上昇率が2%を超えても当面は現行の超金融緩和を続けると宣言している。

 そこへもともとバラまき型の民主党のバイデン政権となった。コロナワクチンの投与が始まり米国経済も落ち着いている中で、あのパニックだった2020年4~6月期を上回る2.8兆ドルもの財政支援を行うつもりである。そのうち0.9兆ドルは2020年の年末にトランプが決定したものであるが、残る1.9兆ドルはやはり家計への給付や失業給付の上乗せが中心である。まだ議会は通過していないが、ゲームストップが早くも再上昇している。

 つまりバイデンは「そうでなくても余剰資金が溢れ返る米国に、さらなる余剰資金をバラ撒く」つもりである。

 それなら米国株式はさらに上昇するのではないか?

 そうはならない。すでに資源価格や商品価格、ビットコインなど仮想通貨といった株式以外の相場が上昇している。資源価格や商品価格の上昇は国内のインフレを高進させ、まだ十分ではない経済活動を阻害する。

 すでにインフレの芽を感じとった米国長期金利(10年国債利回り)は先行して上昇しており、年初の0.9%から直近では1.6%となっている。コロナショック以前の2020年初めは1.9%だったが、米国経済は当時の水準まで回復しておらず、失業者も1000万人増加したままである。

 通常は長期金利の上昇はドル高となるが、最近のICEドルインデックスは下落を続けている。つまり足元の金利上昇は、経済活動の回復を反映した「良い金利上昇」ではなく、低開発国に見られる自国通貨の下落に伴う「悪い金利上昇」となる。

 報道では米国長期金利が上昇したのが米国株価急落の理由との説明が多いが、少し違う。経済活動が回復することによる「良い金利上昇」は株価上昇要因である。そうではないので問題なのである。

 この状態が続けば、そう遠くない時期に「本格的な株価の調整」がくるはずである。

 目先は米国10年国債利回り上昇と、ICEドルインデックスの下落が(少なくとも横這いが)併行すれば、しばらくして米国の株価(つまり日本を含む世界の株価)の調整が始まるはずである。2月23日のツイッターで最初の警告をツイートしたが、2~3日後に早くも株価急落となった。

 まだ始まったばかりである。引き続き、最大限の注意が必要である。

2021年2月26日

The Stray Times(有料版)の予告    第97回目

| 有料版記事予告 | 2021年2月21日 |

The Stray Times(有料版)の予告    第97回目

 2月22日の夕方に予定通り更新します。以下、予定内容です。

1 特別特集  久々にハゲタカファンドによるTOBについて ユニゾの顛末など

今週も少し趣向を変えて、久々の「ハゲタカファンドによるTOB」についてである。

大前提として本誌は「ハゲタカファンド」によるTOBは、その形態を問わず大変に批判的である。どんな綺麗ごとを並べても「ハゲタカファンド」が上場会社を「きわめて安価」で買い取って非上場化し(世間の目が届かないようにし)、再上場益など膨大な利益を独占するものでしかないからである。

だいたいそんな「ハゲタカファンドによるTOB」を望む上場会社などないはずであるが、世間には「びっくりするような理由」で応じてしまう例が出てくる。そういう機会を常に狙っているのが「ハゲタカファンド」である。

そんな中でも「飛び切り最悪の結果」になりそうなユニゾの顛末を中心に解説する。

2  今週の「一言加えたい」銘柄    電通グループ編

 2年連続で「巨額赤字」となった電通グループであるが、その根本的な背景から決して一過性の経営不振ではない。

 おりしも東京オリンピック利権に食い込み、コロナウイルス対策の持続化給付金で巨額事務委託費を受けとったにもかかわらず、巨額赤字である「電通の怪」である。

3 お勧め「書籍」コーナー

 まだ未定

2021年2月21日

最新有料記事サンプル


2021年2月22日配信分
お勧め「書籍」コーナー

お勧め「書籍」コーナー

 今週のお勧めは、世界における王室をもう一度整理して頭に入れておくために役に立つ書籍である。世界の出来事を考えるとき、その国の王室についての知識があれば、理解もその後の考察も素早く行える。

「王室で読み解く世界史」  宇山卓栄・著  日本実業出版  1700円+税<…


2021年2月22日配信分
今週の「一言加えたい」銘柄   電通グループ編

今週の「一言加えたい」銘柄   電通グループ編

 電通は2020年1月から持ち株会社となり社名も「電通グループ」となっているが、ここでは馴染みのある「電通」で通すことにする。

 その電通は2月15日に2020年12月期決算を発表したが、最終損益が1519億円もの巨額損失となった。海外事業を中心に「の…


2021年2月22日配信分
特別特集  ユニゾの顛末に見るハゲタカファンドが仕掛けるTOBのトンデモなさ

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 最近こそやや沈静化しているが、2020年は上場会社による上場会社に対するTOBが盛んに行われた。その大半が上場会社の主要株主である上場会社が、その持ち分を引き上げて完全子会社化・非上場化して影響力を強化するもので、ファミ…