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イタリアが危ない、英国が危ない、その次は?

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イタリアが危ない、英国が危ない、その次は?

 9月21日までに開催されていたFOMCは予想通り0.75%利上げで政策金利が3.0~3.25%となったが、ドットチャートによる2022年末までのFOMC全メンバーによる政策金利予想が4.4%(4.25~4.5%)と6月時点の3.4%から1%も上方修正されていた。
 
 パウエル議長も直後の記者会見で、米国経済がいくら低迷しても物価上昇が目標の2%に落ち着くまで利上げを続けるので「痛み」を覚悟してほしいと強調し、経済活動の低迷により利上げがスローダウンするとの市場の「最後の期待」もあえなく消え去った。

 正常時なら経済活動が低迷すれば金融政策は緩和されるため、米国債利回りは「先行して」低下するものである。しかし今回のFRBは「何あっても」利上げを加速・継続させると「断言」しているため、米国債利回りが「際限なく」上昇し、ドル高も、そして株価下落も止まらない。

 日本時間28日午前11時現在の米国2年国債利回りは4.29%(2007年以来)、10年国債利回りは3.98%(2010年以来)となり、ICEドルインデックスは1週間前(FOMC前日)である9月20日終値の110.215から114.455まで上昇し、NYダウも9月20日終値の30706ドルから27日終値の29134ドルまで下落して年初安値を更新している。

 この状態も普通ならドル債務の多い発展途上国の経済・金融市場に影響が出るはずであるが、今回は「意外な国」に影響が出た。

 物価上昇が先進国で最悪の英国(8月の消費者物価指数が前年同月比9.9%上昇)はFOMC翌日の22日に0.5%利上げして政策金利を2.25%としたが、同時にトラス新政権が大幅減税を含む積極財政策を打ち出したため財政悪化懸念が拡大し、英国債利回りの急上昇、ポンド急落となっている。

 日本時間28日午前11時現在の英国10年国債利回りは4.44%(1週間前は3.3%)、ポンドは1.0668ドル(1週間前は1.1380ドル)となっている。とくにポンドは日本時間26日早朝に一時1.0362ドルと1985年の1.052ドルを下回り史上最安値となった。戦後のブレトンウッズ体制では1ポンド=2.8ドル=1008円だった。

 まさに英国は、経済・金融危機に「最も近い」ことになる。その背景はもちろんFRBの徹底的な利上げ継続と長期化である。

 次がイタリアである。もともとイタリアは財政赤字が大きく国内金融機関の資産内容が脆弱でECBの大幅利上げで経済・金融危機となり、ユーロ圏やEUにも波及すると懸念されていた。

さらに25日の総選挙でポピュリズム(大衆迎合路線)を掲げる右派連合が勝利したため、日本時間28日午前11時現在で10年国債利回りが4.74%(1週間前は4.2%)まで上昇し、ユーロも0.9554ドルと1週間前の0.9955ドルから下落している。

ここでもイタリアは経済・金融危機に「英国の次に近く」、そこからユーロ圏やEUにも波及する恐れがある。その背景ももちろんFRBの徹底的な利上げ継続と長期化である。

ちなみにポンドは年初の1ユーロ=1.1368ドルから15.9%、ポンドは同じく1ポンド=1.3530ドルから21.1%下落しているが、それでも円の年初来下落の25.8%(115.02円から144.70円)より小さい。

日本経済の名目潜在成長率は世界で突出して低いため金融緩和が維持できている。ここからの円安は円買い介入で、YCCは10年国債の指値オペで「当面は」凌げる。28日午前の日経平均は26000円を一時割り込んでいるが、それでも年初来安値(3月9日の24717円)より「かなり」高い。日本だけはFRBの徹底的な利上げ継続と長期化に「当面は」耐えられるが、それだけ根本的な改善が遅れて大きなツケが残ることになる。

それでは英国、イタリアに続く経済・金融危機となりそうな国はどこか?

今度こそ中国である。10月16日の共産党大会で習近平の3期目は確定期であるが、退任する李克強首相の後任人事も含めて経済・金融政策の「空白期間」が続く。もともと習近平は経済・金融政策を重視しない。

28日のオフショア市場では人民元レートが1ドル=7.2233元と年初の6.3670元から13.4%下落しており、1週間前の7.0180ドルからも下落が加速している。明らかに中国から資金が流出している。

これまでさんざん指摘されてきた中国の経済・金融危機が、今度こそ米国の利上げ加速と長期化で「待ったなし」となる。FRBの(というより米国政府の)急激な利上げとドル高維持は、中国の経済と金融市場にダメージを与える意図もあるからである。

2022年9月28日