2022/11/30(水)

12時11分06秒

The ST

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

ドル/円

インフレの高止まりで再度急落した米国株式市場

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 日本 | 株式編 | 為替編 | 米国 | 米国 | ドル(円) | 2022年9月15日 |

インフレの高止まりで再度急落した米国株式市場

 米国時間9月13日早朝に発表された8月消費者物価指数は前年同月比8.3%の上昇だった。7月の同8.5%上昇から低下しているとはいえ予想の同8.1%を上回り、急激な利上げにもかかわらず米国の物価が高止まっていることになる。

 とりわけ意外だったのはエネルギーと商品価格を除くコア指数が同6.3%上昇と、7月の同5.9%上昇から加速していたことで、前月比でも0.6%上昇と7月の0.3%上昇から加速していた。ここまでの物価上昇は原油などエネルギー価格と大豆・トウモロコシなど穀物価格の急上昇に主導されたもので、現在はそれらの価格が低下しているため消費者物価上昇も間もなく落ち着くと期待されていたところ、見事に裏切られたことになる。

 20~21日に9月FOMCを控えた米国金融市場は、政策金利の市場見通しを反映する2年国債利回りが発表直前の3.52%から3.78%まで急上昇して本年最高利回りとなった。9月FOMCにおける0.75%利上げは確定的で、1.0%の利上げまで予想され始めている。

 一方で経済活動の市場見通しを反映する10年国債利回りも発表直前の3.30%から3.44%まで上昇し、逆イールドは拡大しているものの、利上げ再加速でも米国の経済活動は「それほど落ち込まない」と見る反応となった。

 それを受けてドル高が進み、ドル円は発表直前の141.60円からNY時間夕刻には一時144.96円となり、6日の144.99円に再接近した。

 米国株式市場は、NYダウが1276ドル(3.94%)安の31104ドルとコロナショック時の2020年3月以来の下げ幅となり、ジャクソンホールでパウエル議長のタカ派講演後の安値となった9月6日の31145ドルも下回ってしまった。

 NASDAQ総合指数は632ポイント(5.16%)安の11633ポイントとなったが、安値となった9月6日の11544ポイントは辛うじて上回っていた。

 米国では前日の12日にNY連銀が発表した消費者による1,3,5年後の期待インフレ率がすべて低下していたため株式市場が上昇しており、ショックが倍加したことになる。また米国時間13日のビットコイン価格は22787ドルから19860ドルまで急落していた。

 翌14日の東京市場でも日経平均が796円(2.78%)安の27818円となり、安値となった9月7日の27430円に接近したが、やはり下回っていない。

 14日の東京時間でも円安が続いていたが、午後になって鈴木財務大臣が突然に「為替介入」の可能性に言及し、日銀が実際にレーチェックを行ったため日本時間の夜遅くには142.95円まで押し戻されていた。

 米国時間の翌14日早朝に発表された8月卸売物価指数は、前月比0.1%下落(7月は0.5%下落)、前年同月比8.7%上昇(7月は同9.8%上昇)と想定の範囲内だった。発表直後に2年国債利回りが3.84%、10年国債利回りが3.47%まで上昇したが、終値では2年国債が3.79%、10年国債が3.40%まで低下してドル高も一服となった。

 14日のNYダウは30ドル高の31135ドル、NASDAQ総合指数も86ポイント高の11719ポイントと小反発している。10年国債利回りが上昇している限りは、利上げが多少加速しても米国株は堅調であるとの本誌の予想は「見事に」外れてしまった。

 これだけで判断することは難しいが、21日のFOMCは0.75%の利上げで政策金利が3.0~3.25%となり、同時にフォワードガイダンスも上方修正され2023年前半には政策金利が4.0~4.25%程度となって「いったん様子見」となるはずである。

 従って2年国債利回りも4%を超えるが、やはり10年国債利回りが反落急しない限り(経済活動に対する市場見通しが急激に悪化しない限り)米国株式も堅調に戻ると予想する。利上げが加速されても米国の経済活動は「ある程度耐えられる」と感じるからで、そこから多少でも物価上昇が落ち着けば自動的に実質GDPが加速するからでもある。つまり米国株式に対する本誌の基本的な予想は変えていない。

 15日の日経平均も小高く始まっておりドル円も143円台に戻っている。

 朝方発表された8月の貿易統計(速報値)は2兆8173億円の赤字となった。赤字は13か月連続で、単月の赤字幅は比較可能な1979年以降最大である。確かに円安の弊害も大きい。昨日の鈴木財務大臣の為替介入発言も、円安放置の批判を回避するためでしかなく、介入でどうこうなるものではない。緊縮財政路線を引っ込めて、まずは日本経済の活力を取り戻さなければならない(言うだけ無駄であるが)。

 このままでは昨日の介入発言で手控えられた海外勢の円売りが2~3日のうちに戻ってくるはずである。

2022年9月15日