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バイデン来日の日本としての損得勘定

| 政治・政策提言 | 日本 | 米国 | 外交編 | 2022年5月25日 |

バイデン来日の日本としての損得勘定

 バイデン大統領が5月22日夕刻から24日夕刻までの約48時間、日本に滞在した。主な日程は23日の日米首脳会談と24日のクワッド首脳会談であったが、ここは日本としての損得勘定を冷静に考えてみるべきである。

 だいたい日米首脳会談もクワッド首脳会談も日本がホスト国なので(今回は国賓ではなかったが各国首脳と随員の滞在経費の大半と警備費用等は日本の負担である)、日程や議題について「地の利」を生かすことが世界の常識である。

 ところが今回は最初から最後まで米国(バイデン)ペースで進められ、日本(岸田首相)は引き立て役でしかなかった。つまり「地の利」が全く生かされなかった。

 日米首脳会談のテーマは、「ロシアのウクライナ侵攻に対して同盟国の結束を求める」と「インド太平洋地域の平和と繁栄の確保」だった。前者がロシア、後者が中国を意識していることは言うまでもない。

 しかし中国ともロシアとも(海を隔てているとはいえ)国境を接している日本に、ネオコン(米軍事産業)の親玉であるバイデンが乗り込んで中国もロシアも「挑発」しただけである。ネオコンはウクライナに大量の武器を供与して戦闘を長引かせ、その代金を各国にツケ回す。また米軍を周辺国に派遣してもネオコンの収益となる。

 岸田首相はさっそくウクライナへの支援を3億ドル追加して合計6億ドルとし、さらに軍事予算を大幅増額すると表明してネオコンの期待に応えた。日本にとってはカネの問題ではなく中国とロシアを「不必要に」挑発しただけで、メリットは全く何もない。

 つまり日本にとって「地の利」は何一つ生かされなかっただけでなく、「地の不利」が山ほど持ち上がったことになる。バイデンの台湾有事に対する軍事行動発言も、尖閣、沖縄、北海道を加えなければ日本にとってリスクでしかない。

 日米豪印の4か国首脳が集まったクワッド首脳会談も基本的に中国とロシアに対する牽制である。伝統的にロシアに近く中国とは緊張関係にあるインドを呼び込んだ意味は大きいといわれるが、それは米国と当のインドにとってのメリットであり、ここでも日本は「不必要に」中国とロシアを挑発しただけである。

 案の定、クワッド首脳会談が行われている時間帯に中国とロシアの爆撃機が2機ずつ日本を周回している。例によって日本のマスコミは揃ってその時間帯を含む本日中「知床で遭難した船舶を曳航中に落とした」ニュースばかりである。何らかの意図があるとしか思えない。

 またクワッド首脳会談は、オーストラリアの総選挙があるにもかかわらずバイデン来日に合わせて24日に開催された。これも与党・自由党が敗れて反中国のモリソン首相が退陣し、ほぼ間違いなく親中国である野党・労働党が9年ぶりに政権についた。つまり南太平洋における対中国戦略を根本的に見直す必要があるところ、単純に労働党の党首を参加させている。

 ここも日程も議題も米国ペースで進んだ弊害である。だいたい米国大統領選の結果でも操作する中国が、人口の少ないオーストラリア総選挙を操作していないはずがない。日和見のインドを加えてもクワッドの効力は「ほぼなくなった」と考えるべきである。そのリスクも日本だけが被る。

 バイデン来日中は異様な高揚感を見せていた岸田首相は、ホストでありながら日本に何のメリットももたらさず、リスクだけを増大させたことになる。例によってマスコミが全く批判しないため岸田首相の支持率がまた上がり、ますます日本にとって困った政治が続くことになる。

2022年5月25日