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日本にも急激なインフレと消費大不況の予感

| 経済編 | 中国 | 日本 | 米国 | 2022年5月17日 |

日本にも急激なインフレと消費大不況の予感

5月16日に発表された日本の4月企業物価指数は前年同月比10.0%上昇と、第2次オイルショック時の1981年以来の上昇となった。上昇は14か月連続で、昨年10月にはすでに8%上昇となっていた。

 内訳では木材・木製品が前年同月比54.6%、石油・石炭製品が30.9%、鉄鋼が29.9%、電力・ガス・水道が28.7%のそれぞれ上昇で、輸入物価は円べースで44.6%も上昇している。すべ国内産業や消費者に深刻な影響を与えるものばかりである。また輸入物価は現地通貨ベースでは27.6%の上昇で、最近の急激な円安の影響も加わっている。

 国内がこのニュースにそれほど危機感を感じているよう見えない理由は、消費者物価への波及が「大変に遅れている」からである。4月の消費者物価指数は5月20日に発表されるが、1年前の携帯料金値下げの効果が剥落するものの前年同月比2.2%上昇(3月は同1.2%上昇)、生鮮食料品を除くベースで1.8%上昇(3月は0.8%上昇)と、国際比較でも「異常に低い」予想となっている。

 4月の米国消費者物価は同8.3%、ユーロ圏は同7.5%上昇している。さらに日銀は「消費者物価指数は一時的に2%を上回るが、長続きしない」と言い張り、経済回復のためとして超金融緩和を継続するはずである。

 確かに日本経済は先進国で唯一コロナ以前の水準を回復しておらず需給ギャップを抱えたままで、「教科書的」には海外物価高や企業物価高(生産者物価高)が消費者物価に反映しにくい。  
 
 しかし現実は、原油などエネルギー関連を含む素材全般、穀物など輸入に頼らなければならない品目の価格高騰に円安が重なり、それに半導体などの供給不足、さらにはコンテナ船など輸送手段の逼迫まで加わった物価上昇である。国内景気が伸び悩んでも解消される物価上昇ではない。

 4月の米国生産者物価指数は前年同月比11.0%上昇しているが、同月の日本企業物価指数の10.0%上昇とあまり変わらない。生産者物価指数と企業物価指数の算出方法はあまり変わらない。ところが4月の米国消費者物価指数は同8.3%上昇しているが、同月の日本の消費者物価指数(予想)は2.2%でしかない。さらに4月の米国平均時給が同5.5%上昇しているが、日本で賃金が上昇しているとは聞かない。

 つまり日本の消費者物価の上昇が遅れている(経済活動が本格回復していない)ことも問題であるが、ここから輸入物価を含む企業物価(生産者物価)の上昇に耐え切れなくなって製品価格の値上げ続くと(すでにその兆候が目立つが)、消費者の収入が伸びない日本は「消費大不況」となる。

 最大の問題は、そのパニックに対する警戒も備えもほとんど行われていないことである。政府はガソリン価格の上昇に対して、ぼろ儲けしている元売り企業に上限付きの補助金を交付するという「謎の対策」しか打ち出せない。

 さらに海外資源高や円安や一時的供給不足が重なったため「たまたま」1~3月期決算がが高収益となった輸出大企業などが続出しているため、一層日本経済に対する「危機感」が希薄になる。

 ところで生産者物価の上昇に対して消費者物価の上昇が「大きく」見劣りする国がもう1つある。中国である。4月の生産者物価指数が前年比8.0%上昇しているが(昨年11月は同12.9%上昇だった)、同月の消費者物価指数は同2.1%(3月は1.5%)上昇でしかない。先行していた生産者物価の上昇が最近鈍化していることと併せても、中国経済は日本経済に負けず劣らず「危機的」であると感じる。

 日本の「消費危機」に対しては、時間がかかる上に効果が見込めず「いつの間にか誰か儲けている」これまでの対策や補助金ではなく、期間限定でよいので消費税を5%に戻すしかない(高額商品は除く)。タイムラグなしで消費に対する直接効果があるからである。

 岸田政権もそろそろ「効果のある政策」を打ち出して頂きたい。

2022年5月17日