2022/05/25(水)

17時48分14秒

The ST

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

ドル/円

ここからの米国株式をめぐる1つの考え方

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 株式編 | 米国 | 米国 | 2022年5月11日 |

ここからの米国株式をめぐる1つの考え方

 米国株式市場が急落している。世界各国の株式市場はそれぞれの国内事情より米国株式市場に影響されるため、その動向を気にせざるを得ない。

5月9日のNYダウ終値は本年最安値の32245ドルとなり、史上最高値となった1月4日の36799ドルから12.4%の下落となった。同じくNASDAQ総合指数は2020年11月の水準である11623ポイントとなり、本年高値となった1月3日の15832ポイントから26.6%も下落している。

 40年ぶりの物価上昇が続くためFRBも「さらなる利上げ加速」と「早急なFRB総資産縮小」に取り組まざるを得ず、5月9日は米長期金利(10年国債利回り)が一時3.2%となったための株価急落だった。

 NY時間5月10日午前中はさすがに景気減速懸念から10年国債利回りが3.0%を割り込み米国株式も反発しているが、昼ころには早くもマイナスに転じている。

 また利上げよりFRB総資産縮小の方が株式市場にとって大きなマイナス材料となる。リーマンショック以降、一時期(2017年秋~2019年秋)を除いて拡大一方だったFRB総資産が米国の(つまり世界の)株式市場を急上昇させて来た。その反動が一気に出ている。

 米国の株式時価総額(NY市場とNASDAQの時価総額合計)は2021年12月末にピークの52兆ドルとなった。2021年の米国名目GDPは23兆ドルなので、実にその2.26倍である。その時点のFRB総資産は9兆ドルである。

 リーマンショックで米国の株式時価総額が名目GDPを大きく割り込んだが2011年12月末にやっと追いついた。つまり米国の株式時価総額が名目GDPの1.0倍となり、実額はともに16兆ドルだった。またその時点のFRB総資産は3兆ドルだった(リーマンショック前は1兆ドル未満)。

 乱暴な言い方であるが2011年12月末から2021年12月までの10年間で6兆ドル増えたFRB総資産が、米国名目GDPを7兆ドル増加させ、米国株式時価総額を36兆ドルも膨らませたことになる。

 ところでFRBが一時的に総資産を縮小させていた2017年秋~2019年秋の2年間は、株式時価総額は名目GDPの1.7倍前後で拡大を止めていた。

 5月9日時点の米国株式時価雄額は2021年12月末から9兆ドル減って43兆ドルになったはずである。2022年の米国名目GDPを24兆ドルとすると、その比率はすでに1.8倍まで低下している。

 同じくFRBが総資産を縮小させていた2017年秋~2019年秋の1.7倍とするなら(名目GDPが24兆ドルのままだとして)、理論的な時価総額はあと2.2兆ドル減った40.8兆ドルになる。2.2兆ドルの減少とは本年に入ってすでに減少した9兆ドルの4分の1で、もうそれほど大きな下落にはならない。

 FRBの総資産縮小が2023年いっぱい続き名目GDPが25兆ドルになると、その時点の理論的な時価総額が42.5兆ドルとなり、ここからほとんど下落しないことになる。また何らかの理由で総資産縮小が打ち切られれば1.7倍が再度大きくなり、ここから時価総額が増えることになる。

 「そんな考え方もあるのか?」程度に覚えておいていただきたい。

2022年5月11日