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マスクのツイッター買収が「本気だと理解して」急落したテスラ株

| 個別企業編 | テスラ | 2022年4月28日 |

マスクのツイッター買収が「本気だと理解して」急落したテスラ株

 イーロン・マスクによる総額440億ドル(5.6兆円)のツイッター買収は、4月25日にツイッター取締役会がアッサリと受け入れた。4月22日にマスクが465億ドルの資金調達に目途をつけたと提出書類から明らかになったからである。

 つまりここに来て株式市場は「初めてマスクのツイッター買収が本気だと理解した」ことになる。それまではマスクの本気度にも、巨額資金調達にも「懐疑的」だったはずである。

 マスクが目途をつけた465億ドルの内訳は、ツイッター資産を担保にアドバイザーのモルガン・スタンレーなど金融機関が貸し付ける130億ドル、マスクが625億ドルのテスラ株式を担保に借り入れる125億ドル(ここまでの金利が6~11%)、それにエクイティ部分(劣後部分)となるマスクの自己資金の210億ドル(詳細不明)となっている。

 一瞥して「かなり無理を重ねた資金調達」である。

 買収が成功すれば「巨額報酬」を手にするアドバイザーのモルガン・スタンレーは、この資金調達斡旋でも「巨額手数料」を得る。またマスクが125億ドルの借入れの担保とする625億ドルのテスラ株式はマスクの保有するテスラ株の3分の1に相当する。

 そしてマスクの「本気度」と同時に「かなり無理を重ねた資金調達」と理解した株式市場は、早くも26日に大きく反応する。
 
 まず26日にテスラが12.2%下落して876ドルとなり、時価総額が1日で1260億ドル(16兆円)も消し飛んだ。マスク保有のテスラ株も1日で210億ドル、ツイッター株取得が最初に明らかになった4月4日から400億ドルの目減りとなる。
 
 マスクにとってはツイッター買収のために目途をつけた資金調達総額に近い個人資産が「先に消えてしまった」ことになる。もともとテスラ株式の「含み益」を使った資金調達で自己資金を減らさずにツイッターを買収しようと目論むマスクは、きっちりそのコストを「前払い」させられたわけである。

 だいたいテスラ株の「含み益」と「他人の金」だけでツイッターを買収できるなら、無から有が生じたことになるが、その「しわ寄せ」が先にテスラの株価に向かっただけの話である。ここまで株式市場の「追い風」に恵まれてきたマスクが、初めて難局面に(当たり前にの話であるが)直面したことになる。

 3月30日に発表されたテスラの2022年1~3月期決算は純利益が前年同期比7.6倍の33.2億ドルだったこともあり、4月4日のテスラは1229ドルまで上昇していた。ツイッター買収は「ある程度」のテスラ株売却が必要と株式市場は「想定」していたが、それでも25日までは1000ドル前後だった。

 株式市場はテスラの株価がさらに下落すれば追加担保や担保株式売却に追い込まれる事態を警戒している。またエクイティ部分となるマスクの自己資金210億ドルの詳細がわからないため(そもそもマスクの個人資産の大半がテスラ株式であるため)、ここでもテスラ株がさらに売却されると警戒している。

 一方でツイッターの株価は、25日には買収価格の54.20ドルを一時上回ったが、26日には49.68ドル(終値)、27日の朝方は48ドル台前半まで続落している。つまり株式市場は「早くも」マスクによるツイッター買収が「白紙に戻る」事態を想定している。

 白紙に戻れば当然にテスラの株価は急回復する。27日朝方のテスラは900ドルを回復している。こうなるとマスクも自身の個人資産額に大きく影響するため「言論の自由」がどうのなどと言っていられない。

 だいたい今回のマスクは,ユダヤ系投資銀行のモルガン・スタンレーに「乗せられた」と感じる。マスクは違約金を支払っても「白紙撤回」すべきである。だいたい大型買収案件ではアドバイザーで資金調達を斡旋する投資銀行が儲かるだけで、仮に買収が成功しても巨額負債(少なくとも130億ドル)を押しつけられるツイッターも簡単に自走できない。

2022年4月28日