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日本の物価、金利、為替について考える

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 日本 | 為替編 | ドル(円) | 2022年4月13日 |

日本の物価、金利、為替について考える

 現地時間4月12日午前(日本時間同日夜)、米国の3月消費者社物価指数が発表された。結果は前月比1.2%上昇(2月は同0.8%上昇)、前年同月比は40年ぶりの8.5%上昇(2月は同7.9%上昇)と、やはりロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格などの上昇がフルに寄与して物価上昇が加速していた。本日明日(13日)は3月卸売物価指数が発表されるが、2月は前月比0.8%、前年同期比10.0%のそれぞれ上昇だった。

 米国市場では、消費者物価指数の発表前に一時2.79%まで上昇していた10年国債利回りは「思ったほど上昇が加速していなかった」との安心感から一時2.70%まで低下していた。それでも3月上旬の1.72%から1か月ちょっとで1%を超える上昇幅である、これは足元の物価上昇加速で、3月15~16日のFOMC時点における2022年末の政策金利予想の1.9%が直近では3%程度まで上がっており、さらに米国経済はその急激な利上げに耐えられるとの予想が支配的で(そうでなかったら10年国債利回りは上昇せず長短金利の逆転が起こるはずである)、結果的に直近の株価上昇となっていた。12日のNYダウは小幅安で終わっている。

 ただロシアのウクライナ侵攻は簡単に終結しそうになく、米国のドル決済禁止など「やや強引な」経済・金融制裁もかえって原油価格や天然ガス価格の上昇を加速させる恐れがあり、まだまだ世界の物価上昇は加速しそうである。

 12日には日本の3月企業物価指数(速報)も発表されており、総合では13か月連続上昇となり前月比0.8%、前年同月比9.5%のそれぞれ上昇だった。2月は同9.7%上昇に上方修正されている。これだけ見ると日本では3月は2月から物価上昇が加速しているわけではなが、3月は速報ベースで(たぶん)3月上旬くらいまでのデータしか反映されておらず、最新の物価状況がわからない。

 日本の3月消費者物価指数は22日に発表されるが、2月は総合で前年同月比0.9%の上昇でしかなかった。日本経済は直近の推計でGDPの3.1%(17兆円)もの需給ギャップを抱えているため、簡単に企業物価とくに輸入物価の上昇が消費者物価に転嫁されないはずであるが、すで幅広い製品で値上げラッシュが続いている。4月以降の消費者物価指数は日銀目標の2%を大きく超えるはずである。

 日本のエネルギー需給率は11%、食料需給率は37%しかなく、今後はエネルギー危機だけでなく食料危機が起こると懸念する。円安加速がそのリスクを大きくしている。

 円相場は本日(13日)夕方に1ドル=126.32円となり2002年以来20年ぶりの円安となった。この時期は日銀だけが世界で唯一量的緩和に踏み切っていた時期である。また10年国債利回りが0.25%に接近して指値オペの出動かとも思われていたが、利回りはその手前の0.23%で止まっている。これも正常な国債利回りが形成されず、誰にも日本経済や債券市場の現在地がわからなくなる弊害が出ている。

 株式市場でも国債市場でも為替市場でも、人為的な手を加えず自然な相場の位置を知り、それを踏まえて必要な金融政策や経済政策を打ち出さなければならない。日銀はそこを間違ったまま9年間も経過してしまった。

 まず長期国債相場を自然に任せて「本来の長期金利水準」に落ち着かせる必要がある。そうしないと正しい金融政策がとれない。そこを自然に任せれば(多分長期金利水準が少し上昇し)為替水準も需給関係やファンダメンタルズを反映した自然な水準に落ち着くはずである。そこで初めて円あるいは日本経済の「実力」を知ることができ、必要な経済対策が浮かんでくるはずである。

 従って為替介入も「邪道」となるが、日本は直近で1兆4000億ドルほどの外貨準備がある。大半がドルである。ここは円相場を変動させるというより、せっかく外貨準備が円安(評価益)となっているはずなので、外貨(ドル)のヘッジ売りをするべきと考える。外貨準備で保有する米国債はどうせ売却できないため、為替の評価益だけ確保して、また円高になれば買い戻しておけばよいのである。

2022年4月13日