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問題山積の岸田政権 それを暗示する日経平均

| 政治・政策提言 | 日本 | 2021年10月08日 |

問題山積の岸田政権 それを暗示する日経平均

 10月4日の首班指名を経て岸田政権が発足した。安倍・菅政権が自民党派閥や官僚組織を力で抑え込む「強すぎる政権」だった反動もあり、岸田政権は自民党派閥や官僚組織が力を盛り返す政権になるはずである。それは閣僚の顔ぶれにも表れ、押さえつけられていた官僚組織も、さっそく財務省が金融取引税の引き上げを打ち出すなど反撃に出ている。

 そもそも岸田政権とは、前任の菅政権では来るべき衆議院選を戦えないという自民党議員の危機感から、自民党議員と同党員・党友だけの投票で選ばれたものである。そこには当然に選挙を控えた自民党議員と、自民党内で勢力を拡大させようとする各派閥の「利益」が最優先となる。

 つまり混沌さを増す世界情勢とくに中国への脅威に備えるためでも、コロナ禍で苦しむ国民の安全や低迷する日本経済の中で国民の生活を護るための政権交代でもない。その辺は10月31日投開票と決定された衆議院選のスケジュールに現れている。

 岸田首相や自民党各議員や立候補予定者からすると「新政権のボロが出ないうちに、また野党各党の準備が整わないうちに、一刻も早く投開票してしまおう」と考えたはずであるが、実は10月30~31日にローマでG20が対面形式で行われる。つまり日本を含めて20か国の首脳が一堂に会するわけである。

 つまり「新任首相」として各国首脳に「顔を売り込む」「親しくなる」「重要事案を予め相談される」ために最大のチャンスとなる。岸田首相は外相経験が長いが、首相として国際政治デビューとなる。岸田首相にとって重要であるというより、日本国民にとって重要なのである。

 とくに10月6日には米国のサリバン国家安全保障担当補佐官と中国の楊潔篪・国務委員(副首相級)がスイスで極秘会談しているが、内容は明らかに米国が中国にすり寄っている。バイデンと習近平の首脳会談も年内でセットされたようである。一方で欧州各国では逆に中国との距離を取り始めており、各国首脳の「本音」を聞き出す最大のチャンスである。

 ところが岸田首相にとって重要なものの優先順位が違うためか、このG20を「いとも簡単に」欠席して衆議院選の投開票を急ぐことにした。何であと1週間待てないのか? 誰を代理で派遣しても、代理では各国首脳から相手にされない。

 話は変わるが、菅首相が辞任(総裁選に出馬せず)を発表した9月3日の少し前から、日本の株式市場が急上昇していた。日経平均は2月16日に30467円(終値、以下同じ)と31年ぶりの高値となったが、そこから世界の株式市場の上昇にもかかわらず反落し、8月20日には27013円まで下落していた。

 ところが日経平均はそこから急反発し、9月14日には30670円と2月高値まで更新していた。その時点ではまだ岸田首相は本命ではなく、(誰だかわからない新首相の経済政策を期待して)株価だけが急反発していたことになる。

 実際に岸田総裁誕生となったあたりから株価が急反落し、10月6日には27528円と8月安値に接近し、昨日(10月7日)は少し反発したものの27678円までである。確かに世界の株式市場は、物価上昇、FRBのテーパリング、中国恒大集団の経営危機など悪材料が多いが、日経平均は9月上旬からの急上昇分をほぼ吐き出してしまっている。

 これも岸田首相の優先順位には、積極的な経済対策がそれほど織り込まれていない失望感の現れである。派閥力学を優先し、官僚組織とくに財務省の増税路線を復活させ、国際政治デビューの絶好機会を自ら潰し、とにかく衆議院選を乗り切ろうとする岸田首相に株式市場が期待するはずがない。

 岸田政権も意外に短命であると予想する。

2021年10月8日