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今月のFOMCの結果と違和感

| 経済編 | 米国 | 2021年9月23日 |

今月のFOMCの結果と違和感

 9月22日(日本時間23日未明)にFOMCの結果が発表された。結果は0.0~0.25%の政策金利と月間1200億ドルの資産買い入れ(量的緩和)は据え置かれた。評決は11名の投票メンバーの全員一致だった。

 FRBの金融政策の目的とは最大雇用の維持と長期的な2%のインフレ率の達成である。

 今回のFOMCの重要ポイントは、市場が最も注目していたテーパリング(量的緩和縮小)の開始時期を年内(たぶん次回の11月2~3日のFOMCで決定)、6月時点では「ない」と予想されていた2022年中の利上げを1回(0.25%)、同じく2回(0.5%)と予想されていた2023年中の利上げを3回(0.75%)と前倒したことである。

またFRBの独自予想では、2021年の実質GDP予想が5.9%(6月時点は7.0%)、2022年が3.8%(同3.3%)、2021年の失業率予想が4.8%(4.5%)、2022年が3.8%(3.8%)、2021年のPCE(消費者支出)物価指数が4.2%(3.4%)、2022年が2.2%(2.1%)となっている。

全体的には足元の「経済活動が減速し雇用回復が遅れる中で、消費者が実感するインフレ率が急上昇している」中での判断だったことになる。

民間の最新統計でも9月17日に発表されたミシガン大学の消費者信頼感指数が71.0(前月も70.3)と本年ピークだった6月の86.4から大きく低下し、インフレ予想も4.7%と前月と同水準だった。また9月3日に発表された8月の雇用者数は23.5万人と予想を大きく下回ったが(まだコロナウイルス前の水準を600万人下回る)、時間当たり賃金は前年比4.3%上昇しており、FRBの独自予想はかなり「控え目」となる。

そんな中でテーパリングはともかく年内(たぶん11月)に開始され、利上げ時期は全体的に前倒しされた。FRBも物価上昇の沈静化を優先し、テーパリングは目先の経済減速でも今さら止めるわけにはいかないとの判断である。日本を除く世界主要国ではコロナウイルスによる緊急避難的な超金融緩和の正常化に取り掛かっているため、米国だけ何しなければ米国債やドルに対する世界の信頼感に悪影響が出る恐れがある。

少なくともFRBは目先の経済活動の低迷やコロナウイルス感染高止まりや恒大集団のデフォルト懸念に対する警戒より、物価上昇の抑え込みを優先したことになる。それはそれで正しい決定である。

ところがそのFOMCを受けた金融市場の反応には「やや違和感」がある。まずNYダウは同日に339ドル高の24258ドルとなった。NYダウは史上最高値となった8月16日の35625ドルか約1か月下落していたが、FOMC決定を受けて急反発したことになる。この日は恒大集団が目先の利払いを行うと発表した影響もあるはが、やや「違和感」のある動きである。

コロナウイルス対策で米国政府が投入した財政資金6兆ドルは米国GDPを2兆ドル回復させたが、米国株式の時価総額を8月のピークまで20兆ドル増加させている。その6兆ドルの財政資金が、4兆ドルのFRBの資産買い入れ(量的緩和)で賄われたため、テーパリング=財政支出縮小=株価低迷となるはずである。ところがとりあえずそうなっていない。

さらに米国長期金利(10年国債利回り)が1.30%まで低下しているが、2年国債は0.24%とあまり変化していまい。つまりイールドカーブがフラット化したわけであるが、利上げが近いと逆にスティープ化するはずである。

また商品価格も原油を中心に続伸している。インフレ鎮静化を狙ったFRBの行動はとりあえず無視されている。最後にFRBの利上げ前倒しはドルの水準を押し上げるはずであるが、当日のICEドルインデックスはほとんど変化していない。

つまりFOMCを受けた主要金融市場は、すべて予想された方向には動いていない。もう少し見てみる必要はあるが、少なくともFRBの今回の行動は、FRBが意図した金融市場の動きを引き起こしていない。

これが何を意味するのか?については、世界経済と金融市場のとの関係を気にしながら注目する必要がある。

2021年9月23日