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コロナ後の世界経済を案じるべき

| 経済編 | 日本 | 世界情勢 | 2021年5月01日 |

コロナ後の世界経済を案じるべき

 日本のコロナウイルスは変異種が急拡大しており、ワクチン投与の遅れや医療崩壊の兆しもあり、まだまだ深刻化する。累計死者も昨年11月下旬の2000人から、直近では10000人を超えている。

 世界ではやはり変異種が猛威を振るい、最悪のインドでは4月29日の新規感染者が過去世界最悪の38万人、死者が3600人に達している。バイデンがワクチン投与の実績と効果を自慢した米国でも、同日の新規感染者が54000人と高水準のままである。

 そんな中でIMFの4月時点の最新経済予想では、世界全体のGDP成長率が2020年のマイナス3.3%から2021年には反動で6.0%となる。個別では米国がマイナス3.3%から6.4%、ドイツがマイナス4.9%から3.6%、日本がマイナス4.8%から3.3%、中国がプラス2.3%から8.4%、インドがマイナス8.0%から12.5%、ブラジルがマイナス4.1%から4.6%である。

 ただ足元のコロナウイルスの(予想を超える)猛威により2021年の世界経済も、この予想を下回りそうである。とくに日本の3.3%、インドの12.5%は「ほぼ」実現不可能だと感じる。

 歴史的に見ても「新種の細菌やウイルスによるパンデミック」が短期間で消滅したケースはなく、数十年から時には数百年にわたって断続的に人類に襲い掛かる。現在はワクチンなど医療体制の整備によりサイクルが短くなっていると思われるが、それでもコロナウイルスがここ1~2年で消滅することは「絶対に」ない。

 その辺を考え合わせると、世界経済は反動で急回復する2021年が過ぎると(コロナが再拡大してもしなくても)長期にわたって低成長時代が続くと考えたほうがよい。

 実際に先述のIMFの長期予想では2025~26年の経済成長率は、米国で1.6%、日本が0.5%、ドイツが1.1%、ブラジルが2.0%となる。中国、インド、発展途上国の予想はもう少し高いが、低迷する世界経済の中でこれらの国だけが高成長を維持できない。

 それでは成長率が大きく低下した世界経済のイメージとはどんなものか? いいお手本が現在の日本である。日本は長期にわたって名目GDPも物価も個人所得も伸びず、長期金利はゼロ近辺のままである。日本の長期金利(10年国債利回り)がゼロ近辺なのは、日銀が釘付けしているからではなく、いつまでたっても日本経済が成長すると期待されないからである。

 そんな日本でも株式市場だけは欧米に遜色なく上昇しているが、これはほぼ自動的に世界の株式市場に追随していることと、日銀の巨額のETF買いに起因する。世界で株式資産を積極的に購入している中央銀行は日銀だけであるため、世界で日本の株式市場だけが「底上げ」になっている。

 つまり2025~26年の世界経済とは、現在の日本経済と「近い」イメージになり、そのまま長期間低迷するはずである。簡単に言ってしまうと成長力低下が定着する世界経済は、膨れ上がる株式市場の時価総額も、過剰生産力も、最も懸念される官民の過剰負債も「支えきれなく」なるはずである。

 これが最も時間がかかるが、もっとも確実な「バブル崩壊」のシナリオである。

2021年5月1日