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「ドコモ口座」の資金不正引き出しで感じる「言いようのない不気味さ」

| 個別企業編 | 日本 | 個別企業編-その他 | 2020年9月11日 |

 全国の地方銀行などでNTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を使った預金の不正引出し(正確には不正チャージ)が続出している。なかには「ドコモ口座」に登録していない個人の預金も引き出されており、被害総額は9月10日時点で、66口座、1800万円超である。まだ気がついていない被害者もいるはずである。

 その根本的原因はNTTドコモが9月9日になってしぶしぶ認めたように「ドコモ口座」登録の際の本人確認が厳格ではなく、事業拡大を優先したため安全対策が後回しになっていたことに尽きる。NTTドコモは10日に決済銀行に指定している35行の地方銀行との間で「新規登録」だけ当面止め、被害総額を「銀行と連携して」保証すると発表したが、根本的には何の解決にもなっていない。

 「ドコモ口座」の総登録者数は公表されておらず、銀行からのチャージが1か月上限30万円に設定されているといっても、ハッカー集団なら上限を外すことなど「朝飯前」である。

 今回はたまたまNTTドコモの「お粗末かつ安直な対応」が主原因ではあるものの、本件に関して表題にある「言いようのない不気味さ」を感じる理由が3つある。1つ目は「急拡大している決済サービス会社の中には、NTTドコモのようなお粗末かつ安直な対応がまだある可能性」、2つ目が「そこが大丈夫でも、安全の前提となる銀行口座と暗証番号が今回盗み出されていること」、そして3つ目が「日本の資金決済情報を含む個人情報が、すでに何か得体のしれない大きなものにゴッソリと抜き取られている可能性」である。

 この3つは相互に絡み合っており、同じ問題のような気もする。従ってここからは3ついっぺんに解説する。

 そもそも資金決済サービスの中でもキャッシュレス決済が急拡大した理由は、2019年10月から2020年6月まで中小規模事業者やコンビニなどフランチャイズ・チェーン店でキャッシュレス決済を行った際、購入金額の2%ないし5%のポイント還元を行うキャンペーンが「政府主導」で行われたからである。

 これは2019年10月1日からの消費増税による消費の落ち込みをカバーするため、当時(現在もまだそうであるが)官邸を牛耳っていた経済産業省の官邸官僚が主導したものである。

 このキャンペーン期間は終了しており、その後半はコロナウイルス拡大であまり騒がれなくなったが、その間にクレジットカード、デビットカード、QRコード決済系、交通系、流通系、通信系など各種キャッシュレス決済サービス会社が入り乱れて顧客拡大に走ることになった。その中でも自社ポイントの独自還元も含めて最も積極的だったのがソフトバンク系の(正確にはZホールディングス系の)PayPayである。

 PayPayはポイント還元キャンペーン開始以前の2018年12月にも「100億円あげちゃうキャンペーン」を行い、ここまで累計で1200億円もの赤字を出して230万の加盟店と3000万ユーザーをかき集めた。正常な「先行投資」の範囲を超えているような気がする。

 Zホールディングス傘下にはPayPayの他にヤフー、LINE、ZOZO、アスクルなどがあり、資金決済、コミュニケーション、購買、物流など「個人情報の宝庫」である。さらにユーザー数だけならLINEペイのほうが3880万とPayPayよりも多い。

ところがこのPayPayの技術はアプリ登録が4.5億人というインドのPaytmが提供しており、そのPaytmの親会社であるOne97の筆頭株主(25%保有)がアリババ系のAnt-Financialであり、さらにソフトバンク・グループが2017年にOne97に19億ドル出資している。

 このへんが3つの「言いようのない不気味さ」にも繋がっているため、さらに調査してまた報告したい。ちなみに退任したアリババの馬雲(ジャック・マー)会長は中国共産党員であると人民日報が最近になって伝えている。

2020年9月11日