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ウォーレン・バフェットが考えるコロナ後の米国株式

| 個別企業編 | 株式編 | 米国 | 米国 | 2020年5月07日 |

 少し前の5月2日、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの年次株主総会がオマハで開催され、同時に2020年1~3月期決算も発表された。

 時節柄、株主総会は無観客のオンライン中継となったが、発表された2020年1~3月期決算が497億ドル(5.3兆円)の最終赤字となったことが大きなニュースとなった。

 米国企業は2018年から保有株式の評価損益を四半期決算に反映させる「会計ルールの変更」が行われたこともあるが、2020年1~3月期は保有するアップルなど上場株式(保有時価総額1807億ドル)の評価損に加えて、米国航空大手4社株式をすべて売却した損失も加わり、投資関連損失が556億ドルにも上った。
 
 バークシャー・ハサウェイは単なる投資会社ではなく、傘下に保険会社、電力会社、エネルギー関連会社、鉄道会社など多数の企業を抱える年間売上2500億ドル、従業員数40万人の「大コングロマリット」であるが、それら傘下企業の稼ぎ出す同期間の営業利益58億ドル(前年同期比5.7%増)も遠く及ばなかったことになる

 ちなみにバークシャー・ハサウェイの2019年12月期通年は814億ドルの最終利益を稼ぎ出し(2019年は逆に保有株式の値上がりによる利益押上げが大きかった)、同年12月末の時価総額が(アラムコを含めて)世界7位の5500億ドル、現金保有1280億ドル(13.7兆円)、ずっと無配であるが50億ドルの自社株買いを行っていた。

また同時点においてもアップルなど保有上場株式の時価総額は2400億ドル(26兆円)で(同社時価総額の43%)、先述のようにバークシャー・ハサウェイは決して単なる投資会社ではない。最近のソフトバンクGとは違い、投資を「本業」として収益を上げ続けようとは考えていない。

 しかし世間では依然としてバークシャー・ハサウェイの投資損失を大きく取り上げ、実際に昨日(5月6日)の同社時価総額は4200億ドルまで下落している。しかしアップルなど保有株式は3月末からかなり反発しているため、4~6月期には逆に保有株式の評価益計上となるかもしれない。また3月末現在の現金保有は新規投資を控えたため1370億ドル(14.7兆円)に増加している。

 さてそんなバークシャー・ハサウェイの保有上場株式の上位10社は、2019年12月末現在でアップル(総保有株式時価総額の29.7%)、バンク・オブ・アメリカ(13.5%)、コカ・コーラ(9.2%)、アメリカン・エキスプレス(7.8%)、ウエルス・ファーゴ(7.2%)、クラフト・ハインツ(4.3%)、JPモルガン・チェース(3.4%)、USバンコープ(3.2%)、ムーディーズ(2.4%)、デルタ航空(1.7%)であった。

 2016年に投資開始したアップルと、1~3月期にすべて売却したデルタ航空(ほかにもユナイテッド航空、アメリカン航空、サウスウエスト航空の上位4社を保有していたが、すべて売却している)を除けば、バークシャーが古くから保有する「永久保有銘柄」が並ぶ。

 バフェットの銘柄選択は、その業界が米国経済になくてはならないもので、しかも主要企業が既に確定しているもの(上位銀行株や金融関連企業が該当する。大手航空会社株もそれに該当するはずであった)、それに主要商品の知名度が全米に知れ渡っている企業(コカ・コーラやハインツ、上位10社には登場しないがジレット、P&Gなどが該当)である。

 バフェットは株主総会で航空会社株の売却については、コロナ後の世界の行動様式において、必ずしも大人数が航空機で長距離を移動するこれまでの行動様式が復活するとは思えなくなったからとしている。

 ということはコロナ後の金融業界についてはそれほど危惧していないことになる。ただしリーマンショック直後とは違い、米国大手銀行の優先株に投資するつもりはないようである(これは単に銀行株がまだ高いからだと思う)。またバフェットは一貫して仮想通貨には懐疑的である。

 またバフェットはコロナ後も米国株式の優位性は揺るぎなく(ただし米国そのものや米国経済の優位性が揺るぎないとは言っていない)、米国の巨額財政赤字についても(自国通貨建てである限り)心配はないとしているが、近い将来のドル安は感じ取っているようである。

 また低下する米国の長期金利については「そもそも金利については自分の専門領域ではない」としながらも、あくまでも米国株式の相対魅力を「さらに」引き上げると述べている。

 とりあえずバフェットは米国株について弱気になったわけではないが、今後に投資すべきセクターについては迷っているようであり、また必ずしも米国そのものや通貨(ドル)や米国経済、ましてや世界経済や世界の株式については強気でないことだけは感じる。

2020年5月7日