2019/12/14(土)

20時16分57秒

The ST

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

ドル/円

ヤフー(Zホールディングス)とLINEの経営統合

| 個別企業編 | 個別企業編-その他 | ソフトバンク | 2019年11月21日 |

 ヤフー(Zホールディングス)とLINEの経営統合

11月18日にヤフーとLINEの経営統合が発表された。ここでヤフーについては持株会社となったZホールディングス(以下、ZHD)が上場会社であり正式社名である。

 両社の経営統合については11月13日夜に一部報道機関が伝え、両社も翌14日には「経営統合を検討している」ことだけは認めていた。それを受けて株価も、14日にはZHDが459円、LINEが15日には5400円の高値をつけていた。

 ただ18日に発表された経営統合案は、確かに「和製プラットフォーム企業」としてのシナジー効果が強調されていたが、何よりもその具体的な経営統合方式の「わかりづらさ」が気になった。そこで本日そのシナジー効果ではなく、その経営統合方式を中心に解説する。

 まずZHDは発表時点における発行済み株数が4,822,417,565株で、ソフトバンク(携帯電話会社の方)が自己株を除く議決権の44.6%に相当する2,125,366,900株を保有する筆頭株主(親会社)である。正式発表日(11 月18日)の終値の422円で計算した時価総額は2兆350億円となる。

 一方のLINEは発行済み株数が240,961,642株で、韓国のNAVERが自己株を除く議決権の72.64%に相当する174,992,000株を保有する筆頭株主(親会社)である。同じく18日の終値の5150円で計算した時価総額は1兆2409億円となる。

 また正式の経営統合は1年近く先である2020 年10月になるとも発表された。

 さて発表された「わかりづらい」経営統合方式であるが、全体図はZHDの親会社であるソフトバンク(携帯電話会社)とLINEの親会社であるNAVERが折半出資する新会社を設立し、新会社が資本参加するZHDの傘下に事業会社のヤフーとLINEがぶら下がることになる。

 新会社は現在上場しているLINEに対しソフトバンクとNAVERが共同でTOBを行い、その取得した株式を資産に設立する。TOB価格は1株=5200円であるが、買い付け対象はNAVERの保有株式と自己株式を除いた65,968,343株となる。これを全額買い入れると総額で3430億円となり、これをソフトバンクとNAVERで折半出資する。

 さらにZHDとLINEの株式交換比率は別途1対11.75と算定されているため(LINE1株に対しZHD11.75株)、ZHDは新株を2,831,284,030株発行し、NAVERを含む(自己株は除く)LINEの全株と交換する。この発行株式は現時点におけるZHDの発行済み株数の58.7%にも相当するため、株主総会における特別決議による承認が必要となる。

 さてここからがポイントである

 まずこの新会社はソフトバンクとNAVERが折半出資しているが、「なぜか」ソフトバンクの連結対象となる。連結対象となるとソフトバンクは新会社の資産をすべて取り込むことができるため(利益は出資比率に応じた半分だけである)、ソフトバンクはわずか1715億円(3430億円の半分)の出資と、ZHDが発行する新株だけでLINEのすべて取り込んでしまうことになる。

 これはZOZOでも見られたように「できるだけ少ない資金で対象会社をすべて取り込んでしまう」ソフトバンクGの基本姿勢である。余談であるが、このZOZOもTOBの上限を50.1%としていたため、応募株数の62%程度しか買い入れなかった。前澤氏も依然として25%程度の株主として残っている。

 ZHDとLINEの経営統合に話を戻すが、まずZHDの発行する新株の発行価格は当然のように未定である。しかしZHDとLINEの交換比率は1対11.75 とすでに決められている。両社の株価は、現時点(11 月21日前場終了時点)でZHDは383円、LINEが5150 円であるため、その比率は13.44倍となる。

つまりLINEの株主(実質的にはTOBに応募しないNAVERのこと)は「かなり不利」となるわけである。LINEのTOB価格は5200円と決められているため、LINEの株価はあまり変動しないと考えられる。つまりここからZHDの株価が下がれば下がるほどNAVERが不利となり不満が出てくることも考えられる。

 たぶん経営統合によりZHDの株価が上昇するため、NAVERにとって有利な経営統合となるとソフトバンク側が囁いていたはずであり、ソフトバンクの親会社のソフトバンクGももっと高値でソフトバンク株式(まだ66%を保有している)を高値で売却できると目論んでいたはずであるが、「とりあえず」市場の評価は逆となっている。

 全体的に今回の経営統合案は「発表を急ぐために大急ぎで取り決めた」と思われる部分がある。この統合決定もソフトバンクというよりグループ代表であるソフトバンクGの孫社長の意向とアイデアと「あせり」が反映されているような気がする。

 今後のZHDの株価次第であるが、問題が出てくる可能性もある。

2019年11月21日