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どうなるここからの世界経済と株式市場?

| 日本 | 米国 | 米国 | 中国 | 日本 | 米国 | 2019年2月12日 |

 株式市場に限らずここのところの世界の金融市場は「何に反応して動いているのか?」がわかりにくくなっている。そうでなくても世界情勢や経済状態は日々変化してきているため、余計に予想することが難しくなっている。少なくとも(中国は別にして)公式の経済指標は発表が遅すぎて、あまり参考にならない。

 それではどうすればよいのか?

 少し前になるが1月17日に日本電産の永守会長が、米中貿易摩擦の影響で中国経済が大きく減速しており、特に昨年11月と12月は「今まで見たこともない」落ち込みだったとして、2019年3月期の売上高予想を1兆6000億円から1兆4500億円に、営業利益を1950億円から1450億円に、それぞれ下方修正してしまった。強烈なリーダーシップをもつ永守会長の発言なので、信頼できる予想で大いに参考にすべきである。つまり中国経済の落ち込みは思った以上に深刻で、日本をはじめ世界経済への影響も「思ったより大きい」ことになる。

 サラリーマン経営者でもなく、孫正義社長のように「なんでも強気」な経営者ではない「カリスマ経営者による貴重な生の声」と考えておくべきである。日米とも昨年10~12月期(あるいは4~12月期)の決算が発表されているが、アップルまで減益となった米国市場に比べ、日本ではサラリーマン経営者が実態ほど下方修正しているとは思えず、2019年3月期決算が揃えば「びっくりするほどの減益」となっているかもしれない。

 日経平均もNYダウも、昨年10月初めに直近に高値を付け、そこから年末にかけて急落し、本年に入るとまた回復基調に戻っている。日経平均は昨年10月1日の24245円(終値、以下同じ)から12月25日に19155円まで5000円以上急落し、先週末(2月8日)も20333円とあまり回復していない。NYダウは昨年10月3日の26828ドルから12月24日には21792ドルまでやはり5000ドル以上急落しているが、先週末は25104ドルと「かなり」回復している。

 ここで日本経済については、米中貿易摩擦による中国経済の減速の影響をもろに受けた結果である。そこにきて最近国民の所得の計算方法が長い間誤魔化されていたことが発覚し、アベノミクスの間に実質賃金が減少していたこともほぼ間違いない。そこへ本年10月に消費増税が来る、政府はポイントカードやクレジットカードの使用は優遇するようであるが、所詮はごまかしであり、景気の目先の見通しを反映するはずの長期金利(10年国債利回り)は再度マイナス圏に入っている。日本経済は米国も中国もあてにはできないため、今回の消費増税は社会保険料の値上げと同時に行われて日本経済を大不況に追い込んだ(1999年には大手銀行も破綻しそうな大不況となった)1997年の消費増税の二の舞になることを覚悟しておかなければならない。ここは御用学者の意見ばかり聞くのではなく、しっかりと自分で考えてほしい。

 目先は実質3%台の成長を遂げている米国経済も、結局のところ2016年末に強引に議会を通過させた10年で1.5兆ドルもの減税の影響が残っているものの、肝心のその原資となるオバマケアの廃止はまだ議会承認されていない。2016年から棚ざらしになっている債務上限も「そろそろ」何とかしなければならない中で、トランプ大統領は以前にも増してメキシコ国境の壁にご執心で、政府窓口が長期間閉鎖されても気にかけず、「本当にこの人は大丈夫なのか?」と思ってしまう。政権発足時からトランプ政権は経済閣僚に小者が多い(具体的にはムニューチン財務長官とロス商務長官)と感じていたが、ここにきて反中国派を「これでもか」と政権内に入れ始めている。

 ところが最も早く関税がかけられた鉄鋼製品は、古い設備しかない米国企業がゾンビのように生き返り、しかも生産競争まで始めてしまったため、結局のところ米国内でも鉄鋼製品の価格が大きく値下がりしている。また世界的に商品価格が値下がりしており、結局のところ関税競争とは誰も儲からないことになりそうである。

 しかしそれなら米国株式は(日本株式も)これから値下がりする可能性が高いのかというと、そうでもない。何と言ってもリーマンショック以降、世界の中央銀行がばらまいた資金が潤沢にあるため、仮に悪材料で株式など金融市場が一時的に下落しても、少し経つとすっかり忘れてまた戻ってくるからである。今年に入ってからの日米株式の上昇はこれである。だから新興国経済も、まだ本格的にデフォルトした国がない。新興国の為替や株式や国債などが値下がりすると、いつの間にか資金が戻っているからである。

 それに加えてパウエルFRB議長はトランプ政権の圧力に負けて「あっさりと」利上げを止めてしまい、FRBの保有資産縮小まで早めに打ち切ると表明してしまった。これは利上げを止めたことが悪いわけではなく、いかにもトランプ政権の意向を入れて(パウエルはオバマ政権時にFRB理事となっているが、議長にしたのはトランプである)金融政策を変更したような印象を世界に与えたことが、長い目で見るとドルの信認を棄損するはずである。

 こう考えると少なくとも3月いっぱいくらいは、結局のところ世界の金融市場は(株式市場だけではなく、国債や社債市場も)一時的に下落しても、しばらくすれば忘れてまた資金が戻ってきて、中途半端な相場が続くことになりそうである。