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ゴーン再逮捕 ここから日産自動車はどうするべき?

| 個別企業編 | 日産自動車 | 2018年12月05日 |

東京地検特捜部は、将来の報酬を公表していなかった日産自動車のゴーン元会長らを再逮捕する方針を固めたようだ。これまでも書いてきたように、前回の逮捕容疑に含まれていなかった2016年3月期~2018年3月期にも将来の報酬を公表していなかった金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑があり、裁判所も海外逃亡の恐れありなどとして簡単に認めるため、少なくとも12月30日までは拘留されることになる。常識ではその日に起訴されるはずであるが、役所がすでに年末休暇に入っているためどうなるかはわからない。仮に起訴されたとしても、ゴーン容疑者は当然のように否認しているため、すぐに保釈ということは考えられず、そのまま裁判開始まで長期拘留の可能性も十分に考えられる。

ただ起訴するにしても形式犯罪で有罪判決が絶対に出る金融商品取引法違反だけで、そのほかの会社資産を私的に流用しなどの背任での起訴は(とりあえず)見送るものと考える。背任などは立証が難しく無罪判決が出てしまう可能性もあるため、輝かしい200連勝を続けている検察庁(特捜部、金融商品取引法違反だけ)の連勝記録がストップしてしまうと大変だからである。

これらの長期拘留による取調べについては、海外からも(何と国内からも)批判が出ているが、検察庁はまったく気にしていない。前回も書いように、今回の検察庁(東京地検特捜部)の行動は、珍しく賞賛に値するので、竜頭蛇尾に終わらないようにしてほしい。

さて本日は、日産自動車とその子会社である三菱自動車がルノーに統合され、日本の会社でなくなってしまう事態だけは避けるため、何をしなければならないかを考える。国内で大量の雇用と税収が失われるだけでなく株式市場からも消えてしまう事態は「国策」として避けなければならないからである。さらに仏政府では最大の統合推進者であるマクロン大統領が、相変わらずの低支持率(トランプよりずっと低い)で仏経済回復のための起爆剤となる経営統合(ルノーの強大化)が絶対に必要と考えているはずである。

さて株主関係では、ルノーが日産自動車の43.4%を保有し、仏政府がそのルノーの15%を保有するそれぞれ最大株主である。日産自動車もルノーの15%を保有しているが、フランスの法律によって議決権がない(親会社が40%以上を保有する子会社の保有する親会社株式には議決権がない)。また日本の法律では、日産自動車の親会社ルノーに対する持ち株比率が25%を超えるとルノー株価、ルノーの日産自動車に対する議決権が消滅することになっているが、その親会社が外国企業(ルノー)である場合、当然にその国(フランス)の法律も勘案されるため、簡単にそうなるとも考えられない。

逆に仏政府は2年以上保有する株主の議決権が倍になるフロランジュ法を2015年にルノーに承認させており、現在も有効のはずである。つまりルノーはますます仏政府の意向を強く受けることになる。またそのルノーもゴーンに代わるCEOの選定に取り掛かったようである。実はこれまでルノーによる日産自動車統合に最も反対していたのがゴーンであるが、ここまでくると日産自動車からの(不正分も含めた)高額報酬を失いたくなかっただけのような気もする。

また日産自動車は三菱自動車の34%を保有しており、日産自動車がルノーに統合された場合は一緒に統合されてしまう可能性も強い。この2社合計で年間700万台弱を生産している。

しかしゴーン逮捕後の日産自動車株は「思ったより下がらない」ため、ハゲタカファンドなどがすでに買い始めている可能性はほぼ100%と考える。もたもたしていると日産自動車は東芝にようにハゲタカファンドの株主だらけになってしまう。まさに前門のルノー、後門のハゲタカである。

つまり日産自動車は何をするにしても大急ぎで動かなけでばならない。ここは強力なリーダーシップが必要であるが、つい最近になってゴーンの腰巾着から寝返った西川会長ではどうにもならない。ここは日本政府が一時的にもリーダーシップをとるべきである。

具体的には日産自動車がルノー株式を買い増し、あるいは増資で新株を発行することで、結果的にルノーの日産自動車に対する持ち株比率を引き下げ、日産自動車のルノーに対する持ち株比率を引き上げることである。現在のルノーに対する持ち株比率が15%である日産自動車は、ルノーの発行済みの3分の1を超えて取得する場合はTOBによる手続きが必要となる。

じゃあ、先ほど書いたようにルノーの日産自動車に対する持ち株比率を40%以下にして、日産自動車のルノーに対する持ち株比率を25%以上にすればよいのか?というと、それはボクシングに例えれば、ちょこまか動いて小差の判定勝ちを狙うような作戦である。最初からそんなケチ臭いことを考えていてもだめである。

ここは一発で相手をノックアウトするような作戦、つまりルノー全体をTOBで買収してしまうような思い切った作戦が必要と考える。本日(12月4日)終値で計算したルノーの時価総額は、世界的に株価が下落したこともあり1789億ユーロ(2兆3000億円)しかない。ちなみに同日における日産自動車の時価総額は4兆2000億円である。もっともその4兆2000億円の43.4%(1兆8200億円)がルノーの持分、つまりルノーの財産である。それを入れてルノーの時価総額が2兆3000億円しかなく、さらにその15%(3450億円)は日産自動車が保有している。

ルノーの日産自動車の株式価値を引いた時価総額は4800億円しかなく、しかもそのうち3450億円はすでに日産自動車が保有している。

つまりルノーは「ほとんどタダ」なのである。もちろんTOBとなると、それなりのプレミアムをTOB価格に乗せなければならず、ルノーもフランス政府も簡単に了承するはずがない。

それではどうするのか? 長くなったので続きは次回とする。

平成30年12月5日