2019/11/09(土)

15時34分02秒

The ST

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

ドル/円

さてここからどうなるルノー・日産自動車・ゴーン?

| 個別企業編 | 日産自動車 | 2018年12月01日 |

まず最初にはっきりとさせておくが、今回のゴーンらの逮捕は、このままだと間違いなく日産自動車と三菱自動車はルノーに経営統合され日本の会社ではなくなってしまうところと、ゴーンは自分とルノーのために日産自動車を「食い物」にしていた状態に、何らかのブレーキを掛けることが出来たはずで、(めったにないことであるが)特捜部の行動は評価している。

といっても日産自動車CEOが、ゴーンに取り入って引き揚げてもらっただけの西川氏であることや、日本ではいまだに日産自動車を再建したのはゴーンであるという「ほぼ間違った」常識にとらわれているため、ここから統合やトップの派遣などを決議する株主総会では依然として日産自動車が不利であることも事実である(三菱自動車は日産自動車の子会社であるためセットで考えるべき)。

1999年にゴーンが日産自動車入りしてすぐに2万人の首を切り、5工場を一気に閉鎖し、さらにルノーのためにあらゆる方法で日産自動車から資産や資金や技術などを吸い上げていたことを忘れてはならない。つまりゴーンの功績とは、旧社員を含む日産自動車の犠牲の上に立っていただけで、さらにそこで浮かせた資金の一部を(不正分も入れて)自分の懐に入れていただけとなる。

たしかに帰国したゴーンらをプライベートジェット機から連れ出し、すぐに逮捕した特捜部の手法は強引すぎると言えなくはない。しかしこれは、本来はゴーンの腰巾着である西川CEOや志賀前社長(産業再生機構CEOに出世しているが、まだ日産自動車の取締役でもある)が取締役会などでゴーンの首に鈴をつけなければならないところ、当然のように怖くて何もできないためやむを得ない出動となっただけである。

報道各社のニュースでは、(不正蓄財とされる)金額がだんだん増えてすでに100億円を超えているいるが、その一方で検察批判や「ゴーンは起訴できない」などのコメントも結構ある。コトの本質を見間違ってる。

昨日(11月29日)になってやっとルノー、日産自動車、三菱自動車のトップが電話会議で今後のがアライアンス(戦略提携)について話し合い、これまでゴーンが一人で何でも決めていたところから、3社の合議制になったとのことである。しかしもちろんそんな「うまい話」になったはずがなく、むしろルノーのボロレ暫定CEOに早くも西川、益子両トップの「実力」を見透かされてしまったはずで、今後を考えるとマイナス効果だったと考える。

さて本日(11月30日)は、東京拘置所に収監中のゴーンの最初の拘留期限(10日)が切れる日であり、一部の評論家が保釈すべきと見当はずれなことを言っていたが、もちろん「あっさり」と拘留延長となった。先週も書いたようにゴーンは現在の容疑に入っていない2016年度~2018年度上期の有価証券虚偽記載で「再逮捕」となり、最低でも年内いっぱい拘留されるはずである。

ちなみにゴーンの主任弁護士は、堀江氏や村上氏を逮捕した元特捜部長の大鶴基成氏で、少なくとも依頼人(ゴーンのこと)のために特捜部と徹底的に戦うはずのない大物ヤメ検で、人選ミスのような気がする。またゴーンは米国の著名弁護士事務所のポール・ワイスにも依頼しているが、少なくとも日本での拘留中は面会して簡単な相談くらいしかできないはずである。面会時間を決めるのも特捜検事であり、だいたい1日10分くらいしか認めないはずである

さて次の興味は(心配は)特捜部が「どの容疑」でゴーンを起訴するかである。容疑は報酬の約半分を有価証券報告書に記載しなかった金融商品取引法違反と、日産自動車がベンチャー投資のために海外子会社に拠出した60億円で邸宅を世界に購入して私的に使っていた背任、リーマンショック時の自らの投資損失17億円を付け替えるなど日産自動車の資金を私的に使っていたなどこれも背任の3つであるが、形式犯で必ず有罪に持ち込める金融商品取引法違反だけしか起訴しないような気がしている。

特捜部が(今回はその存在がさっぱり出て来ないが)証券取引監視委員会と組んで旧証券取引法と現在の金融商品取引法で起訴した事例の裁判では、開闢以来だいたい200連勝くらいしており、そこに黒星がつくことが最も「怖い」はずだからである。冒頭で珍しく特捜部を褒めたが、日本のために日産自動車と三菱自動車を守る(フランスにとられないようにする)という目的は重要ではなく、形式犯で構成要件が有価証券報告書の提出だけで必ず有罪に持ち込める金融商品取引法違反でとりあえず白星を重ね、さらに特捜部の社会的地位を高める格好の事件と考えているだけかもしれない。

リクルート事件やロッキード事件の担当検事から検事総長など検察庁幹部が何人も出ているように、特捜部にとっては久々の「出世案件」になると考えたことは絶対にあるはずである。だから構成要件が難しく、無罪になる恐れも十分にある「ゴーンの最大犯罪」である背任では不起訴にするような気がしている。

それではゴーンを金融商品取引法違反だけで起訴し、刑事裁判に持ち込んでも有罪にはなるものの初犯では必ず執行猶予が付く。その瞬間にゴーンは自由の身になり、堂々と帰国してしまうことになる。ここで有罪になると「不正に得た収益」は追徴金として没収できるが、ゴーンが不正蓄財の大半を日本に実名で置いているはずがなく、これも空振りになってしまう。フランスではエリートではないゴーンは、本当に「もっと利権の大きい」ブラジル大統領の座を狙っているかもしれない。

そう考えているとだいぶ心もとなくなってきている。今回は来るべき日産自動車や三菱自動車がルノーに経営統合されて日本の会社ではなくなってしまう最悪の事態を回避するために、近いうちに召集されるはずの臨時株主総会対策も含めて解説しなければならないことが「山ほど」あるが、これはまた次回になってしまう。

平成30年11月30日