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これで逮捕? 日産自動車のゴーン会長

| 個別企業編 | 日産自動車 | 2018年11月21日 |

東京地検特捜は昨日(11月19日)夕刻、羽田に到着したばかりのプライベートジェット機に次々と乗り込み、ゴーン氏(代表取締役会長)と腹心とされるグレッグ・ケリー氏(同専務)を拘束して連れ出し、わずか数十分後には逮捕状を執行した。なぜか朝日新聞だけにはリークされていたようで、一連の動きを録画してニュースとして何度も放送していた。もともと東京地検特捜部はテレビカメラに放映されることが大好きのようで、国内でも強制捜査に入るときなども必ずテレビカメラを待機させている。
そんなことより重要なことなので先に解説しておくと、日産自動車の代表取締役は逮捕された2名と、本年4月にゴーン氏から単独CEO職を譲られた西川(さいかわ)氏の3名だけであり、残る取締役も日本人4名(社外取締役2名を含む)と外国人2人の構成であった。つまり平時でも日産自動車の(代表を含む)取締役は日本人5名・外国人(ほとんどがフランス人)4名と、日本人の方が「常に」多かった。これは日本人の取締役が結託すれば「いつでも」日本人主導の経営ができることを意味するが、1999年にルノーの資本の受け入れてから決してそうならず、唯々諾々とルノー本社の意向を受け入れていたことになる。つまり「絶対にルノー本社(あるいはフランス人に)弓を引かないことが日本人が取締役に選ばれるための絶対条件だった」ことになり、その最たる存在が塙氏・志賀氏・それに西川氏だったはずである。しかし西川氏は22日に開催予定の取締役会で、ゴーン氏とケリー氏を代表取締役雄を含む一切の役職から解職すると発表しており、普通に考えれば西川氏がフランス人からルノーを取り戻したことになるが、もちろんそうではなくさらに複雑な事情や思惑が隠されている。

さて2人の逮捕容疑は金融商品取引法による有価証券報告書の虚偽記載である。記者会見における西川氏の説明によると2010年度から2014年度までの5年間に(決算資料は2017年度まで出来上がっており、なぜこの5年間をとったのかも明確な説明がないが)、ゴーン氏は99億円強の報酬を得ておきながら49億円しか表に出さず(役員報酬の総額は株主総会の承認事項である)、それ以外にも会社の設備投資死因やその他の経費資金を私的に流用していたという抽象的なものでしかない。数か月前に内部告発を受けて捜査当局と相談していたことを明らかにしている。ここで背任や脱税に問わない理由は、商品取引法違反は有価証券報告書さえ提出しておれば(上場会社であれば絶対に提出しなければならない)、本人は否定しても関与がなくても必ず有罪に持ち込める検察庁にとっては「魔法の剣」のようなものだからである。これを背任などで起訴してしまうと構成要因が難しく、結構無罪が出てしまうよでる。つまりゴーン氏とケリー氏は必ず有罪になる。

さてルノーと日産自動車の関係で忘れてはならないことは、2015年のルノーの株主総会で当時の産業大臣だったマクロン氏(現大統領)が強引に日産自動車をルノーの子会社にしてしまおうと画策し、当時は日産自動車CEOも兼務して日産自動車の一般株主の利益も代弁していたゴーン氏が反対した形になり、一旦は流れていた。フランス政府はルノーの大株主でもある

しかし2018年はゴーン氏のルノーCEOの改選期に当たり、マクロンの方は大統領に大出世しており、もともとレバノン系ブラジエル人移民の息子でエリートでもなんでもないゴーン氏が、もし(CEOを外れた今は違うと思うが)今でも日産自動車とルノーの合併に反対しているとすると、簡単に更迭されてしまう。そこでたぶんゴーン氏のCEO続投と引き換えに日産自動車をルノーと統合させることを約束させていたような気がする。つまり日産自動車が日本の会社ではなくなって、ルノーの一部門に成り下がってしまうのである。もちろん株式も取引さされ無くなる。

この状態で出てきたゴーン逮捕であるが、西川氏が長期独裁政権を狙ってマクロンに接近し、ゴーンを追い出した可能性だってないわけではない。世界で3つ(近いGMまでいれても4つ)しかない1000万台クラブのトップになるつもりなら、それくらいの勝負は必要である。ルノーは依然として日産自動車の44%を保有する大株主なので、ここは時価総額が大きい日産自動車の方が(現在は議決権なしで15%保有している)ルノーをTOBなどで飲み込んでしまう必要がある。いずれにしても今後が俄然面白くなってきた日産自動車:ルノーとなる(ゴーン:西川ではない)。

 

平成30年11月20日