2019/11/09(土)

15時34分02秒

The ST

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

ドル/円

影響が大きい米国最高裁判事の指名

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 米国 | 2018年7月11日 |

最近はエスカレートする米中貿易戦争ばかりに目が行くが、長期的には米国最高裁判事の指名も大変に重要と考える。

米国の司法制度は全米をカバーする連邦裁判所と、各州にある地方裁判所に明確に区分されているが、なかでも連邦最高裁判所は各州の地方裁判所も含む法律の違憲審査権があり、米国最高の司法機関であることは間違いない。

その連邦最高裁判所は長官を含む9名の判事で構成されており、その任期は終身である。つまり最高裁判事は、亡くなるか自ら辞任しない限り欠員が出ないことになる。欠員が出るたびに時の大統領がその後任を指名し、上院の過半数の賛成をもって承認されることになる。

ここで時の大統領が共和党であれが保守的な判事が指名され、民主党であればリベラルな判事が指名されることになる。現在の最高裁判事は、保守派が4名、リベラルが4名、中道派が1名となっており、世論が大きく分かれるケースは、その中道派の判事の判断により決まってしまうことが多かった。

そしてその中道派判事であるアンソニー・ケネディ判事が7月末に辞任すると発表されている。ケネディ判事は1988年に時のレーガン大統領に指名され、29年もその任にあったことになる。もともとは保守派であるが、時にはリベラルな判断を下すこともあるため中道派とされていた。

トランプ大統領は当然のように保守派判事を指名し、共和党が辛うじて過半数を維持している上院において、中間選挙までに大急ぎで承認を得てしまおうと考えている。現在の上院は定員100名のうち共和党が51名、民主党が49名と接近しているが、共和党の重鎮であるマケイン上院議員は闘病中で投票できないと考えられるため、共和党から1名でも造反が出れば承認されなくなる。しかし11月の中間選挙では上院議員の3分の1が改選されるため、共和党が過半数を割れる恐れもあるため、悠長に構えているわけにもいかない。

しかしケネディ判事の後任が共和党寄りの保守派判事となれば(指名される判事の年齢にもよるが)かなり長期にわたって米国における最高司法機関において保守派が過半数を占めることになる。つまり米国における司法判断が長期間にわたり大きく保守派寄りになってしまう。 米国大統領の任期は最長8年であるが、最高裁判事は終身制であり、外部から辞任を迫られることもないからである(弾劾裁判の対象ではあるが、過去にその事例はない)。

差し当たっては移民排斥、人工中絶、同性婚、オバマケアなどに対する司法判断が大きく影響されることになりそうである。

平成30年7月11日