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米朝首脳会談で感じたこと

| 米国 | 北朝鮮 | 2018年6月13日 |

6月12日にシンガポールのセントサ島で、トランプ大統領と金正恩委員長による史上初の米朝首脳会談が行われた。実質半日の日程の中で共同声明も発表されたが、ポイントはトランプ大統領が北朝鮮に安全保障を約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に取り組むと約束したところである。

つまりりトランプは金正恩がトップにいる北朝鮮の現体制維持を保証するとしているが、金正恩は非核化に取り組むと言っているだけである。非核化に向けた具体的行程は今後の実務レベル協議で議論されると思われるが、金正恩がおとなしくそれを受け入れて実行に移すとは安易に考えない方がよい。

というのも北朝鮮が過去に非核化については、1994年の枠組み合意、2003年からの6か国協議による取り決めを完全に無視して核開発や核実験を繰り返し、とうとう非核化を材料に米国大統領を首脳会談に引っ張り出せるレベルまで漕ぎつけたことになる。だいたいGDPが米国の数百分の1しかない北朝鮮が、国民を飢えさせても核開発に巨額資金をつぎ込み、もうほとんど核保有国と世界から認められてしまった。しかしまだまだ核保有国としては中途半端で、さらに上のレベルを目指すはずだからである。

そもそも北朝鮮が米朝首脳会談で実現性はともかく朝鮮半島の非核化を持ち出した唯一の理由は、米国による経済制裁とりわけドル決済の停止である。トランプも米朝首脳会談で金正恩が非核化への取り組みを持ち出しても、それだけで経済制裁を解除するほど甘くはない。しかし北朝鮮の安全保障を約束したということは、少なくとも金正恩が米軍による軍事攻撃の対象から外れたことになり、金正恩にとってはそれだけで大成功となる。

翻って日本は何をしていたのか? 安倍首相は米朝首脳会談の前にカナダでG7サミットがあったにもかかわらずその直前に訪米してトランプと会談し、米朝首脳会談の終了後にもトランプと電話会談したようで、それなりに活動は認められるが、所詮はそれだけである。拉致問題についてもトランプは会談で金正恩に伝えたと記者会見で述べていたが、ここからは日朝首脳会談で解決すべきと突き放し、さらに北朝鮮の非核化費用と経済支援は日本と韓国が支払うとまで言っている。今回の米朝首脳会談で日本が得たものは何もなく、「請求書」だけ押し付けられたことになる。

ここで北朝鮮のような小国でも渾身の力で核開発を続けた結果、米国大統領を米朝首脳会談まで引っ張り出し、ある意味で世界中から注目を浴びる存在となったことは事実である。日本もそこだけは参考にしなければならない。何も日本も安直に核武装すべきと考えるのではなく、何か世界から見て日本が誇れる「何か」を武器に、もっと強力に日本の存在感を大きくする国家戦略が必要と考える。

その「何か」とは、世界中の投資資金を日本に呼び寄せる金融大国になることである。毎年少しずつ円高になるなら、世界中から投資資金が集まるはずである。日本は世界で最も低インフレなので、放っておいても円の価値は毎年上昇しなければおかしい。また別に目新しいことではなく2007~2014年まで中国が行った為替政策である。それで中国は世界の投資資金を呼び寄せて今日の経済規模を確立させたわけである。

少なくとも物価上昇と円安を志向する現在の日銀金融政策は間違っている。

平成30年6月13日